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第302回 森田豊さん

第302回 森田豊さん

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住 吉
住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のゲストは、医師で医療ジャーナリストの森田豊さんです。おはようございます。
森 田
おはようございます。
住 吉
新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行が続いていますね。
森 田
そうですね。新型コロナウイルスも、オミクロン株の様々な変異株に徐々に置き換わりつつあって、まだ第8波は静まらないと思います。また、インフルエンザも、流行期に入っているところが多くなってきましたので、引き続き警戒が必要です。
住 吉
もっと寒くなってくるでしょうし、体調管理をしっかりとしたいですよね。
そして、今日、森田先生に伺いたいテーマが「スマホ認知症」。あまり聞いたことのない言葉だったのですが…。
森 田
「スマホ認知症」という言葉が話題になりつつあります。少し怖い言葉ですが、今日はこのテーマで考えていきたいと思います。
住吉さんはこの数年間で、1日にスマホを使う時間が長くなっていませんか?
住 吉
すごく長くなっています。全てがスマホに集約されていて、仕事もスマホでできて、娯楽もスマホで見られるので、連絡手段をはるかに超えて、色々なことをこの画面の中でしているなと思います。
森 田
スマホがあれば、パソコンがなくても仕事ができてしまうことも多いですよね。
住 吉
そうなんですよ。
森 田
機能も増えて便利ですから、だんだん使用時間が長くなってきます。スマホユーザーの約6割に、「物忘れが深刻になった」という調査結果もあって、スマホの長時間使用による物忘れを「スマホ認知症」と呼ばれつつあるんです。
若い世代、すなわち30代にも忍び寄っているようで、全体の4割が30~50代の働き盛りの方という傾向もあります。 アルツハイマー型認知症は、物忘れの進行を止めることはできても、正常に回復させることはなかなか難しいんです。ただ、スマホ認知症は、生活を改善すれば症状もよくなると考えられています。
住 吉
なるほど。では、スマホをきっかけにアルツハイマー型認知症になっているということではなく、全く別の状況が脳内で起きているということなのですね。
森 田
そうなんですが…心配なのは、最近の研究で、スマホの使いすぎで、アミロイドβという脳の老化物質が溜まりやすくなって、最終的にはアルツハイマー型認知症に発展しやすくなるのではないか、という報告もあります。
住 吉
なんと…!気をつけなければいけませんね…。
ただ、スマホを使いすぎると、なぜ、物忘れが深刻になるのでしょうか?
森 田
脳への情報過多が原因とされています。スマホを使いすぎると、脳へ情報がたくさん入りすぎる状態となって、特に脳の前頭前野というところに、処理できないほどの情報が入ってくることで、脳が疲労してしまうんです。疲弊が深刻化することで、新たな情報を取り込んだり、情報を思い出したりする機能が衰えます。
すなわち、「自分の脳をあまり使わないこと」、そして「スマホからの過剰な情報収集」の2点が原因で、スマホ認知症になってしまうと考えられています。
住 吉
インプットが多すぎて、アウトプットとのバランスが崩れてしまうんですね。
森 田
その通りです。 インプットが多すぎると、頭の中がゴミ屋敷のような状態になって、どこに何の情報があるのかわからず、必要なものを取り出せない、アウトプットできない状態になってしまい、脳が疲れてしまいます。
住 吉
思い当たるかもしれません…!
あと、よく耳にするのが「ブルーライト」。これもやはり体や脳に影響があるのでしょうか?
森 田
そうですね、ブルーライトは体に悪影響を与えます。睡眠に関わるメラトニンというホルモンの分泌量を減らすことになるので、寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めたりと睡眠不足の原因になります。これによって、起きている時間帯の情報処理能力も下がり、ますます物忘れがひどくなる、という負のスパイラルに陥ってしまいます。
住 吉
なるほど。
今回、森田先生に「このような方がスマホ認知症になりやすい」というチェックリストを作っていただきました。5つあるので、セルフチェックしてみてください。

①ベッドの中でもスマホを見る
②トイレにもスマホを持っていく
③LINEやメールのほとんどの返信を、受信から1時間以内にしている
④最近、漢字を思い出せなくなった
⑤テレビを見ていても出演者の名前が出てこない
住 吉
私は3つ思い当たります…。
森 田
脳が疲れていると思います。3つ以上当てはまる方は危ないかなと思いますね。