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肺がん検診‐年1回X線検査を。ヘビースモーカーは痰の検査も受けよう

肺がん検診‐年1回X線検査を。ヘビースモーカーは痰の検査も受けよう

日本人のがんによる死亡原因のうち、男性の第1位、女性の第2位を占めている肺がん。その最大の原因はたばこで、喫煙年数や本数が多いほどリスクは高くなります。また、非喫煙者であっても、受動喫煙により肺がんのリスクは1.2~2倍に増加します。たばこを吸う・吸わないにかかわらず、40歳になったら年1回、肺がん検診を受けましょう。

肺がん検診の流れ

国の指針によって推奨されている肺がん検診の内容は「質問(問診)、胸部X線検査および喀痰(かくたん)細胞診」で、対象者と受診間隔は「40歳以上、年1回」です。ただし、喀痰細胞診については、問診により、50歳以上かつ喫煙指数(1日に吸うたばこの平均本数×喫煙年数)が600以上のハイリスクと判断された人などが対象となります。

●問診
年齢、喫煙習慣の有無、過去の検診の受診状況等を聞かれます。

●胸部X線検査
レントゲン検査のことです。四角い板状の装置に胸部を押しあて、息を大きく吸って止めた状態でX線を照射して撮影します。撮影した画像から、肺や気管支などの呼吸器やその周辺の病変を調べることができます。

体への負担もなく、気軽に受けることができますが、ごく早期のがんでは見逃しが多いこと、がんの発生場所によっては死角となって発見しづらいことなどが指摘されています。

 

(X線画像提供:医療法人社団あんしん会四谷メディカルキューブ)

●喀痰細胞診
喫煙本数が多い人を対象に、胸部X線検査と併せて行われる検査です。肺がんの場合、はがれ落ちたがん細胞が痰の中に混じっている場合があるため、痰を採取し、痰の中にがん細胞が含まれているかどうかを調べます。ただし、肺がんにかかっていたとしても、がん細胞が発見されない場合もあります。

喀痰細胞診は、基本的に3日分の痰を採取して行います。これは、1日分だけだとがん細胞の検出率が低いためです。痰は自己採取なので、正確な診断結果を得るには、採取方法についてきちんと指導を受けることが大切です。できるだけ起床直後に、うがいをしてから採取しましょう。

 

安田 聖栄 先生

監修者 安田 聖栄 先生 (医療法人社団あんしん会 四谷メディカルキューブ 理事長 兼 健診センター長
東海大学医学部客員教授)
1977年大阪大学医学部卒業、2008年東海大学医学部消化器外科教授、同付属病院副院長、2016年より四谷メディカルキューブ理事長。日本外科学会、日本消化器外科学会、指導医・専門医。著書は『最新のがん検診がわかる本』(法研)、『一般診療医のためのPET画像の見かた』(金原出版)、『エッセンシャル医療安全』(金原出版)、『がんのPET検査がわかる本』(法研)など。