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今月の+10(プラス・テン)

8月1日配信 連載5回
腰痛が気になる人におすすめの「腰痛体操」

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腰を痛めた経験のある人や、今すでに腰に痛みのある人は、ロコトレに「腰痛体操」を加えるのがおすすめです。気になる症状を解消しながら、「10分多く」体を動かす「+10(プラス・テン)」も実現できます。

【監修】 宮地元彦 先生 国立健康・栄養研究所 健康増進研究部部長

高齢になるほど痛みが出やすい腰。自覚症状ではトップクラス

われわれ人間は、重い頭が乗った上半身を腰で支えて二本脚で立ち、さまざまな動きをしているため、腰は体の「要(かなめ)」といえます。

腰の痛みを感じている人は非常に多く、厚生労働省の「平成25年 国民生活基礎調査の概況」によると、男性の自覚症状の第1位、女性でも肩こりについで第2位となっています。座りっぱなしや立ちっぱなしの仕事、肉体労働、家事や育児、猫背などのよくない姿勢、運動不足などは、腰に大きな負担がかかりやすいため、働きざかりの年代でもぎっくり腰や腰椎椎間板ヘルニアなどを発症することが多くなります。

さらに、高齢になるにつれて骨や椎間板が傷んでくると、ますます痛みなどが現れやすくなります。腰の異常が原因でロコモ(ロコモティブシンドローム:運動器症候群)やロコモ予備群になる人はとても多いのです。

動かさないと、腰痛は悪化。「+10(プラス・テン)」で腰痛対策を

若い人に起こる腰痛のほとんどは、腰椎を支えている背筋や腹筋の力の衰えが原因です。運動不足によってそれらの筋力が低下して腰が痛くなり、腰が痛いためにますます動かなくなると、一層腰痛が進んで悪循環に。また、ずっと同じ姿勢を続けていると、筋肉が凝り固まってきて筋肉痛のような痛みが出ることもあります。

腰痛対策には、以下の4つの「腰痛体操」を「+10(プラス・テン)」に取り入れることがおすすめ。体全体の働きをよくするロコトレと一緒に行うと、より効果的です。

ただし、すでに痛みなどの症状がある人は、医師の指導に基づき、症状が落ち着いているときに無理のない範囲で行いましょう。

①腹筋運動
 あおむけに寝て、あごを引いたまま上半身をゆっくり起こし、45度の位置で約5秒間止めます。
 腹筋の弱い人はこの位置まで起き上がらなくてOKです。上半身を起こすように、おなかの筋肉に力を入れましょう。

①腹筋運動

②背筋運動
 うつぶせに寝て、おへそより下に枕をはさみます。あごを引いて上半身をゆっくり起こし、約10cm上げたところで約5秒間止めます。
 上半身を上げられない人は、この位置まで起き上がらなくてOKです。上半身を起こすように、背中の筋肉に力を入れましょう。
 このとき同時にお尻をすぼめると、お尻の筋肉も働き、より効果的です。

②背筋運動

①②の2種類の運動を10回1セットとして、1日に2セット以上行いましょう。

③腰・背中のストレッチング
 あおむけに寝て片ひざを両手で抱え、ゆっくりと深呼吸をしながら胸のほうへ引きつけます。約10秒間そのままの姿勢をキープ。
 左右、両方の脚で行いましょう。

③腰・背中のストレッチング

④太ももの裏側のストレッチング
 あおむけに寝て、片方の股関節(脚の付け根の関節)を90度に曲げ、脚の裏を両手で支えます。その位置からひざの曲げ伸ばしを行い、その後、ゆっくりとひざをできるだけ伸ばします。最も伸びた位置で、約10秒間キープ。
 左右、両方の脚で行いましょう。

④太ももの裏側のストレッチング

③④の2種類の運動を10回1セットとして、1日に2セット以上行いましょう。

資料:日本整形外科学会「ロコモパンフレット2014年度版」、疾患特異的・患者立脚型慢性腰痛症患者機能評価尺度(JLEQ)

8月の「+10(プラス・テン)」

●運動不足は腰痛のもと。今は目立った症状がない人でも、加齢とともに発症の危険性が高まります。
●「腰痛体操」の4つの運動で腹筋・背筋の強化と、腰まわりの筋肉のストレッチングを行いましょう。