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CKD(慢性腎臓病)(2)
ゲスト: 塚本雄介 先生
(板橋中央総合病院 副院長)

ムロ

サルバドール知恵袋。
全国健康保険協会東京支部がお送りします。

照美

「協会けんぽ健康サポート」毎週月曜日は、健康な毎日のための知恵袋をお届けしておりますが、今月も大事なお話でございます。

ムロ

CKDという言葉を、皆さま覚えていただけたでしょうか? 今月は新たな国民病とも言われているCKD、慢性腎臓病について、腎臓内科がご専門の、板橋中央総合病院の副院長・塚本雄介先生にお話を伺います。塚本先生、今日もよろしくお願いいたします。

塚本

よろしくお願いいたします。

照美

よろしくお願いいたします。塚本先生、先週のお話でCKDの恐ろしさが身に染みたわけなんですが、これ、原因というものはよくわかってるんでしょうか?

塚本

ええ、よくわかっております。特に最近多いのが、糖尿病が原因でCKDになる方が大変増えていますね。糖尿病以外にも、メタボリック症候群(シンドローム)、メタボからCKDになる場合もありますし、例えば喫煙が原因になる場合もありますし…。

照美

年齢みたいなことはあんまり関係ないんですか?

塚本

もちろんですね、年齢がだんだん高くなってまいりますとCKDの人の数も増えてきます。

照美

えっ、だいたいどのくらいの年齢から要注意なんですか? 年齢的に言えば。

塚本

特にですね、40代以降ですね。次第に多くなります。

照美

40代以降。

塚本

成人全体で8人に1人はCKDだということを申し上げましたけども、これが例えば60歳以上になりますと、4人に1人。

ムロ

えっ

照美

わっ、ずいぶん増えますね。

塚本

そうなんです。そして70歳以上では3人に1人、80歳以上では2人に1人。実は大変もう、多い病気です。

照美

じゃあ、年齢が高くなれば高くなるほど、確率は高くなるわけなんですね。

塚本

そのとおりです。

照美

へぇー。これ、初期症状というのはどういうような感じのものなのか、ぜひ先生にお教えいただきたいんですが。

塚本

そうですね、初期症状として一番出てきやすいのは、やはりむくみということではないでしょうか。

照美

昔から、腎臓悪いんじゃないの、みたいなことはむくんでることから日常的にはそういうやりとりしてましたもんね。

塚本

そうですね。ただし、もちろん最初から急にむくむという慢性腎臓病もありますが、そういった症状がまったく見られないまま何年も過ぎていくという方がむしろ多い。

照美

えっ、自覚症状がないままで過ぎちゃうって人も結構多いんですか。

塚本

そうなんです。ところが自覚症状がなくても、尿の検査をすればたんぱくが出ている。

照美

たんぱくが出ているっていうのは1つの目安なんだ。

塚本

そうですね、あと血液が出ている場合もありますし、そういう異常がありますが、ただそれは検査をしてみないとわからない、無自覚で過ごしてしまうということがとても大事な病気ですね。

照美

日常生活のなかでいま言ったように、これが起きたら危険信号、っていう症状を幾つか挙げていただくと助かるんですけども…。

塚本

そうですね、やはり一番最初に気づくことというのはおしっこの、尿の色がいつもより濃い。ただ濃いというのは、水を飲まなければだんだん濃くなりますね。

照美

やっぱり人間、水を飲まないと濃くなるから、それは心配したことはないと。

塚本

心配したことはないんですが…。

照美

水分じゅうぶん摂ってるのに、おしっこの色が濃いっていうのはちょっと注意。

塚本

はい、とくに紅茶色だったり。

照美

あっ、紅茶色ってのは相当怖いですね。

塚本

そうだと思います。そうすると中に血液が混ざってるという証拠ですね。

照美

そういうことなんだ。

塚本

もう1つは、よく泡が立つというふうに言いますけども、これは尿にたんぱくが出ていると、泡が立ちやすいんですね。

照美

はぁー、たんぱくが入っている証拠になってしまう。

塚本

そうですね。ただ泡が立ったから必ずしもたんぱくが出ているっていうことにはならないので、必ずそういう異常に気が付いたら、尿の検査を受けるというのが大事だと思います。

照美

後は?

塚本

そうですね、これはかなり進んでいったら、という話になりますが、身体がだるいとかですね。それから食欲がなくなる、息切れがする。

照美

息切れもそうですか。

塚本

それで、むくみですね。むくむというのはたいてい、座りっぱなしだったり立ちっぱなしだったら、みなさん夕方だんだんむくんできますね。でも朝になるとむくみっていうのは取れてるわけですけども、それが朝から起きるとなると、やはりこれは異常なむくみ。というふうに考える必要があると思います。

照美

顔色なんかはどうですか?

塚本

そうですね、腎臓というのは血液をつくる器官でもありますので、CKDが進んでいくと、貧血が進んでまいります。そうすると顔色が悪くなる。

照美

えっ、青白くなっちゃうんですか?

塚本

そうですね、そういうことが起きると思います。

照美

そこらへんちょっと要注意ということですね。これ、早期発見のためにはどうすればよろしいんでしょうか。

塚本

それが一番大事なことなんですけれども、1つは尿の検査を受けるということですね。

照美

ふんふん、尿検査。

塚本

もう一つは、腎臓のはたらきを調べるということです。

照美

じゃあもうとにかく、定期的に健康診断っていうのはもう当たり前のこと。

塚本

そうです。症状が出る前に定期的に健康診断を受けるっていうのはとても大事なことだと思います。

照美

なるほどなるほど。腎臓っていうのはどうなんですか、どこまで悪くなっちゃうともうダメなんですか?

塚本

そうですね。正常な腎臓のはたらきを100%といたしましょう、そうしますと、60%以下になると、CKDというふうに我々は考えているんですね。

照美

60%以下はもうCKDなんだ。

塚本

そうなんです。それが次第に下がってきて、特に30%を下回るようになってまいりますと、いろいろな先ほど申し上げたような、症状が始まるようになってきますし、そればかりか例えば心筋梗塞だとか脳卒中だとか、そういった動脈硬化に関連した病気が急に増えてくる、そういう時期でもあります。

照美

なるほどなるほど。あとこれ、eGFRですか、eは小文字で、GFRは大文字で。この表記は何か、これが目安になるってメモが届いてるんですけど。ちょっと見慣れない、聞き慣れない言葉なんですが、これはどういうことなんでしょう?

塚本

はい、そのとおりですね。これは腎機能を測る国際的な尺度。

照美

国際的な尺度、eGFR。

塚本

さきほど腎臓のはたらきが60%以下ということを申し上げましたけども、それはeGFRが60以下ということですね。もちろん1分あたり何ccという単位がつきますが、これは別に%(パーセント)に置き換えていただいてもよろしいかと思います。

照美

わかりました。これはどうやって調べられるんですか? eGFRっていうのは。

塚本

これはですね、とても簡単なんですね。血液中のクレアチニンという物質を測定して、あとは性別と年齢を式に入れてあげれば簡単に計算することができます。それで健康診断では、今では血清クレアチニンを測ればですね、全てeGFRとして報告が来ますので、全て健康診断で知ることが可能です。

照美

わかりました。要するに、早期発見のためには1にも2にも健診が大事ということでよろしいわけですね?

塚本

まったくそのとおりです。症状が出る前に、ということは定期的に受けないとわからないわけですから。

照美

受けないと、それはもうムリなわけですもんね。メタボリックシンドロームでも、CKDの発症率が高くなるっていうお話があったんですけども、塚本先生、これを詳しく教えていただけないでしょうか?

塚本

はい、これは非常に大事なお話なので、来週詳しく説明したいと思います。

照美

わかりました。塚本先生、来週もよろしくお願いいたします。

ムロ

よろしくお願いいたします。

塚本

お願いします。

ムロ

今月は、板橋中央総合病院の副院長・塚本雄介先生にCKDについてお話を伺っています。先週の放送を聞き逃した方、もう一度聞きたい方、このコーナーはPodcastでも配信されています。ぜひご利用ください。そしてTwitterもよろしくお願いいたします。今日は塚本先生から、健診がCKDの早期発見につながるというアドバイスをいただきました。協会けんぽ東京支部では、35歳以上の加入者ご本人に、生活習慣病予防健診、40歳以上のご家族には特定健康診査を用意しています。ぜひ積極的に健診を受けてください。詳しくは「協会けんぽ東京」で検索してホームページをご覧ください。
また今月、協会けんぽ東京支部では健診の結果からCKDが疑われる方へ、病院の受診をおすすめする通知をお送りしています。届いた方は早めに病院を受診してください。

照美

サルバドール知恵袋 月曜日は、協会けんぽ健康サポートをお送りしました。