CKD(慢性腎臓病)(4)
ゲスト: 塚本雄介 先生
(板橋中央総合病院 副院長)
(板橋中央総合病院 副院長)

ムロ
サルバドール知恵袋。
全国健康保険協会東京支部がお送りします。
照美
「協会けんぽ健康サポート」
「CKD」みなさんはもう覚えていただいたでしょうか? 今月は板橋中央総合病院の副院長で、腎臓内科がご専門の塚本雄介先生に慢性腎臓病・CKDについて伺っております。大事なお話どんどんでてまいりますが、今週は最終回です。塚本先生、よろしく今日もお願いいたします。
ムロ
お願いいたします。
塚本
お願いします。
照美
今日はですね、大事な話、「どうすれば予防できるのか」を教えていただけるということで、メモと鉛筆を用意して聞いている方も多いと思うんですが、まず基本的なことから伺いたいんですけども、CKD・慢性腎臓病は予防できる病気なんでしょうか?
塚本
その通りですね。予防が十分に可能な病気です。
照美
可能。じゃあさっそく、どうすれば予防できるのかというのを、教えていただきたいんですけど。
塚本
はい、特に過度の飲食を避け、適度な運動をして、そしてもし喫煙されている方は、ぜひ禁煙をしていただいて。そして大事なのは、塩分を控えるということですね。これはすべて、他の高血圧や心臓病などと同じ方法です。
照美
なるほどなるほど。今言われたことが特に重要になる理由というのは何なんでしょうか?
塚本
そうですね、まず塩分を取り上げますけども、塩分が過剰に溜まってまいりますと、高血圧をきたして、動脈硬化を促進してしまいます。これが塩分を控えるということの最も大事な意義ですね。それから喫煙というのは、心臓にも悪い、動脈硬化の原因になるということがわかっていると思いますけども、腎臓にも直接ですね、喫煙は悪影響を与えます。言うなれば、腎臓を酸欠にしてしまうような悪い効果が喫煙にはありますので。ただこれ、受動喫煙も同じですので、喫煙に関してはやめていただいたほうがいいと思います。
照美
あと、お酒の飲みすぎっていうのも。
塚本
そうですね。お酒の飲みすぎというのは、適度なアルコールというのは腎臓にとって決して悪いことではありませんが、常にそうですけども、過度になりますと、これがメタボの原因、糖尿病の原因等々にもなり、また肝臓を悪くする。こういうものがすべて、腎臓も悪くしてしまいますので、節度をもった飲酒というものが必要です。もちろん最初っから飲まないほうが、あえて飲む必要はありません。
照美
あとやっぱり、適度な運動っていうのはどの程度の運動をすればいいんですかね?
塚本
そうですね、これ大事ですね。一日に8000歩とかですね。
照美
一日8000歩。
塚本
そう言われますけども、大事な点はですね、今現在よりも10%増して、プラス10運動をしましょう。
照美
なるほど、今やってることの10%増しの運動を心がけると。
塚本
そうですね。
照美
それなら何か、簡単にできそうですね。
塚本
やってない方に急に1万歩とかですね。
照美
言ってもね。
塚本
それから逆にやりすぎてしまってもいけませんし。
照美
確かにそうか。
塚本
塩分制限もそうですけども、まずできるところから一歩やる。そしてそれができたら、また一歩、ということがとても大事なのかというふうに思いますね。
照美
食生活では、さっき先生がおっしゃった塩分に気をつければいいっていうことなんですけど、減塩が大事だってことは今ラジオ聴いてる方もご存じだと思うんですけども、それでもなかなか上手にできないって方が多いと思うんですが、そのあたりはどういう注意をすればよろしいでしょうか?
塚本
おっしゃるとおりですね、日本人全体、塩分の摂取量というのは大変多いものですから、これをどう制限するかということなのですが、とても大事なのはですね、塩分がどこに一番多く入っているかですね。一番多く入ってるというのは、実は加工食品なんですね。
照美
加工食品。
塚本
はい、いろんなハム・ソーセージ・チーズなどの加工食品で、特に欧米ではですね、こういうものからくる塩分というのがとても問題になっています。
照美
おいしいから、ついついね、いっぱい食べちゃうとそこには塩分がかなり入ってるよってことだったりするわけですね。
ムロ
そうですよねえ。
塚本
あと、肉に限らず魚、魚介類にしても同じですね。生のままの魚介類でしたら、塩分はまったくないわけですけども、それを漬けたりするとですね、塩分が非常に多くなってまいりますね。
照美
塚本先生、メモが届いていまして。「加工食品のとりすぎには、塩分以外でも問題がある」というメモなんですけど、これはどういうことですか?
塚本
多くの加工食品にはですね、リンが多く含まれているんですね。
照美
リン、保存料なんですね。
塚本
そうですね。骨を作っているのはカルシウムとリンです。ですから、骨だけでなくからだにとても大事なミネラルですけども、問題はこれが多すぎるとですね、腎臓に負担をかけるということが最近分かっています。
照美
リンが、とりすぎだと腎臓に負担。
塚本
そうですね、あともうひとつはですね、硝酸ナトリウムと言って。
照美
硝酸。あっ、よく聞きますね。硝酸ナトリウム。
塚本
これ最近特に話題になってますけども、ハムとか肉製品、肉の加工製品ですね。これに彩りを、赤くするために使うものなんですけど。
照美
なるほど、そのために使ってるわけなんだ。
塚本
それをとると、発がん率が増えるというのが、WHOがつい最近警告していますね。
照美
出ていましたね、していましたね。一時ワッと盛り上がりましたけど。つまりは塚本先生、自炊がお勧めっていうことになるわけですかね?
塚本
そのとおりですね。やはり、すべて生の、しかも出所のはっきりしている材料を使って、ご自宅で調理していただく。ないしは、それをランチに持っていくというのが一番いいと思いますけども。
照美
わかりました。
塚本
ただ、市販のものでもですね、いま、ナトリウムの量とかすべて明記されているものもだいぶ増えて参りました。
ムロ
そうですよね。
照美
そうでしょうね。
塚本
それから加工食品もですね、全部が悪いと言っているわけではなくて、何事も食べすぎるといけませんよ、という話ですからね。
照美
過ぎたるが、ってことですからね。
塚本
はい、でも必ずそこにどのくらい塩分が入っているかということはチェックしてですね、召し上がっていただけたらいいと思いますね。
照美
わかりました。すでにCKD・慢性腎臓病になってしまった場合は、塚本先生、どうすればよろしいんですか? これ。
塚本
そうですね、専門医の診察・治療が必要だと思います。それでよく、腎臓病は一度なると治らないということを言われるんですが、必ずしもそうではありません。どの段階で止めるかですね。最終のステージまでいきますと、それを回復することはできませんけども、途中のステージでしたら、例えばまだ、eGFRですね、それが少なくとも30ぐらいでしたら、ある程度元に戻ることもできますし、それからそれ以上悪化させないということが大事ですので、決してあきらめる必要はないと思います。ただ結構、30以下になりますと、専門的な治療が必要になってまいりますので、専門医を受けていただきたいと思います。
照美
わかりました。そして最終的にお言葉としていただけるのは、何より早期発見ということに尽きるわけですかね?
塚本
そのとおりです。早期発見すれば、悪くなる必要がないわけですからね。
照美
悪くなる必要がないわけですからね。一番簡単なことですからね。今月は、板橋中央総合病院副院長で腎臓内科がご専門の、塚本雄介先生に慢性腎臓病・CKDについて伺いました。塚本先生、ありがとうございました。
ムロ
ありがとうございました。今月の塚本雄介先生のお話を聞いて、健康診断を受けようとあらためて思った方、協会けんぽ東京支部では、35歳以上の加入者ご本人に、生活習慣病予防健診、40歳以上のご家族には特定健康診査をご用意しています。ぜひ積極的に健診を受けてください。詳しくは「協会けんぽ東京」で検索してホームページをご覧になってください。また今月、協会けんぽ東京支部では、健診の結果からCKDが疑われる方へ、病院の受診をお勧めする通知をお送りしています。届いた方はお早めに病院を受診してください。
照美
塚本先生のお話をもう一度聞きたい方、このコーナーはPodcastでも配信されております。Twitterのフォローもよろしくお願いします。ハッシュタグは、♯健康サポート です。サルバドール知恵袋 水曜日は、協会けんぽ健康サポートをお送りしました。