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2 メンタルヘルス 自分でできる―メンタルヘルスケア

2013年3月8日配信 連載28回
森林浴のすすめ……緑のパワーでストレス解消!

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桃の節句も過ぎ、日差しにのどかさが感じられる季節になりました。緑の多いところを目指して少し遠出をしてみませんか? 森林には、心と体を癒すパワーがあることが医学的にもわかってきています。

【監修】 山本晴義 先生
医学博士 横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長
神奈川産業保健総合支援センター相談員 埼玉学園大学大学院客員教授

身近な森や林、緑を探しに出かけよう

気候が暖かくなると、通勤などで歩くときにも心地よさが感じられます。ウオーキングなどの運動には、心にもよい効果をもたらすことがわかってきています。しかし、ストレス解消を目的にウオーキングを実践するには、通勤時に一つ手前の駅で歩くといった、日課に組み込んでいやおうなく歩くようにするよりも、「歩くこと」そのものを楽しむことがおすすめ。休日など、少し遠出をして、森や林など緑の多いところを歩いてみてはいかがでしょうか。

都会暮らしで身近に森林がないと感じている人も多いかもしれませんが、日本は国土の67%を森林が占めており、先進諸国のなかではフィンランドに次いで森林率の高い国となっています。1986年には、当時の林野庁によって「森林浴の森100選」が発表されたり、近年はNPO法人森林セラピーソサエティによって、森林セラピー®基地として全国で48カ所が認定されています。「森林浴の森100選」には、東京都では「明治神宮の森」なども含まれており、都会にも比較的身近に森林があることがわかります。鎮守の森という言葉もあるように、神社や仏閣など、いわゆるパワースポットなどといわれるところにも、思いのほか緑が多いものです。

森林浴を楽しむことで、自然とストレスが軽くなる

森林セラピー®とは、科学的に実証された森林浴効果を活用するセラピーをいいます(下記参照)。森林を散策したり、森でひとときを過ごしたりすることで、病気予防や健康増進に役立てようという一歩進んだ森林浴と考えられます。

心と体の健康づくりに役立てようとするとき、ノルマを設けたり、がんばったりするのは適切ではありません。森林浴そのものを楽しむことで、自然とストレスは軽くなります。森林浴を楽しむポイントとして、ある程度整備されて、安全で安心な森林を選ぶこと。また、五感を研ぎ澄まして、緑の香り、風のそよぐ音、風景など、森にいることをじっくり味わい、自分自身が「心地よい」と感じることしながら、ゆったり過ごすとよいでしょう。

月に1回、森林浴を日帰りで楽しむだけでも効果があることがわかっています。お気に入りの森を見つけて、同じところに複数回出かけることで季節の移ろいを楽しむのもよいでしょうし、地図などでさまざまな「森林スポット」を探しながら、散策してみるのも楽しいでしょう。


実証されている森林浴効果
●ストレス軽減効果
都市にいるときと、森林のなかで歩いているときの唾液中のコルチゾールの濃度を調べたところ、森林の中を歩いているときはコルチゾールが減少した。コルチゾールは、代表的なストレスホルモンであり、ストレスがかかると上昇する。

●リラックス効果
都市にいるときと、森林浴をしているときでは、森林浴をしているときのほうが血圧と心拍数が下がることがわかった。森林浴をしているときのほうがリラックスできるともいえる。

●免疫力が高まる
森林浴をする前、1日間森林浴したあと、2日間森林浴をしたあとでNK活性を調べたところ、NK活性が1日間では27%、2日間では53%増強された。NK活性とは、NK細胞の働きの強さの指標であり、NK細胞とは体の免疫機能を司る細胞の1つ。

●がん予防効果
NK活性が増強することもがん予防に効果があるといえる。そのほか、NK細胞が放出する3種類の抗がんたんぱく質が2日間の森林浴によって増加した。森林浴はがん予防にも効果があるといえる。
など