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メタボに狙われるのは中高年。若いうちは心配ない、ってホント?

メタボに狙われるのは中高年。若いうちは心配ない、ってホント?

ウソです。 メタボリックシンドローム(以下、メタボ)の考え方に着目して行われている特定健診(メタボ健診)の対象者は40歳以上。ですから、若い人たちはメタボに対してあまり危機感を持っていないかもしれません。しかし実際は、メタボの芽は若いうちから生まれています。特に男性は若くても動脈硬化を起こすかもしれない危険性を知っておくべきでしょう。

心筋梗塞は若いうちから起こる

心筋梗塞や脳卒中などの、命にかかわる重大な病気の元凶は動脈硬化です。メタボ健診は、その動脈硬化の危険がある人(内臓脂肪型肥満に加え、高血圧や高血糖、脂質異常のある人)を早めに見つけて、対策を進めようというものです。 メタボ健診の対象者は40歳以上ですが、厚生労働省の「平成25年国民健康・栄養調査報告」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou/h25-houkoku.html)によれば、男性では、20代でもメタボの予備群と強く疑われる人を合わせると16.5%、30代では26.6%にもなります。したがって、男性はもっと若い時からメタボ対策を開始する必要があります。 同報告によると、男性は15~19歳までBMI(体重kg÷身長m÷身長m)18.5未満(やせ)が25.4%、BMI25以上(肥満)が9.8%とかなりやせているのに、20代ではそれぞれ10.5%、21.8%、30代では3.7%、25.4%となり、社会人になるのをきっかけにいきなり太ってくることがわかります。 日本のメタボの定義は内臓肥満を中核としていますので、肥満に高血圧、脂質異常、糖代謝異常が重なって、動脈硬化性病変を起こしてくると考えられます。男性が20~30代にいきなり太ってくる理由としては、長時間労働による運動不足、朝食の欠食、食事内容の偏り、睡眠不足、心身のストレスなどが考えられます。メタボは40歳からの病気、とのんびり構えていないで、体重が増えたり、ベルトがきつくなり始めたりしたら、生活習慣を見直すことが重要です。

また、肥満でなくても、高血圧、糖尿病、脂質異常症がある人は、動脈硬化を起こしやすいので、特に家族歴がある人は注意が必要です。

若い人どころか子どもでもメタボに

さらに深刻なのは、子どもですらメタボの危険に陥っていることです。背景にあるのは肥満児の増加です。 肥満度が高い子どもには中性脂肪・血圧・血糖値の上昇、HDLコレステロール値の低下などが見られ、大人と同じようにメタボになっている危険性があるとして、「小児期メタボリックシンドロームの診断基準」まで作られています(「子どもの体に異変あり―小児期メタボが増加中」https://kenkousupport.kyoukaikenpo.or.jp/support/01/20140801.html参照)。 小児肥満の子どもは、約7割が成人肥満に移行すると考えられています。「子どもだから問題ない」「いずれやせる」などと考えがちですが、健康診断などで肥満を指摘されたら、放置しないようにしましょう。

問題なのは運動不足。食べた物をエネルギーとして消費していない

メタボの脅威が若い世代にも広がっている要因は、現代の生活習慣にあります。 厚生労働省「平成26年国民健康・栄養調査の概要」(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000106547.pdf)および「主な健康指標の経年変化:栄養摂取状況調査」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kenkounippon21/eiyouchousa/keinen_henka_eiyou.html)によれば、男性の20代で37.0%、30代で29.3%が朝食を食べておらず、運動習慣がないのは男性の20代で81.1%、30代の86.9%、喫煙率は男性の20代で36.7%、30代で44.3%など、男性若年層の健康習慣が悪いことが指摘されています。 食生活の欧米化や食べ過ぎなどが思い浮かぶかもしれませんが、食事で摂るエネルギー量は最近10年間で減っています。朝食べないで、深夜にエネルギー量や糖質の多い食事を詰め込み、眠気やストレス解消のため喫煙し、睡眠不足のまま出社する、など栄養素の中身や摂り方に問題があるのだと思われます。 20代や30代の人たちも、今のうちからまず自分のタイムマネージメントを見直し、運動習慣や食生活を整えていくことが大切です。

荒木 葉子 先生

監修者 荒木 葉子 先生 産業医内科医 荒木労働衛生コンサルタント事務所所長