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たばこをやめると太る、ってホント?

たばこをやめると太る、ってホント?

禁煙が難しいのは「ニコチン依存症」という病気だから

しかし、禁煙を継続することは簡単ではありません。それは、本人の意志が弱いからだといわれることがありますが、意志の問題ではなく、喫煙の習慣が「ニコチン依存症」という病気であるためです。

喫煙によって肺から吸収されたニコチンが脳に達するとニコチン性アセチルコリン受容体に結合します。続いて、アセチルコリン、カテコラミン、γ―アミノ酪酸、グルタミン酸などの神経伝達物質がたくさん放出されます。これが何度も繰り返され、脳内報酬系という道筋ができてくるのが「依存」です。

禁煙するとこれらの分泌が一時的に低下し、イライラや気分の落ち込みなどの禁断症状が現れて禁煙を続けにくくさせるのです。このようにニコチンには、アルコールやコカインなどと同じように、心身の依存を作り出す作用があるのです。

病気として保険で治療が受けられる

病気であるからには治療が必要です。自分で市販の禁煙補助薬を利用するのもいいですが、依存性が強い場合は保険で専門医による禁煙治療を受けることができます(いくつかの条件を満たしていることと、特定の医療機関を受診することが必要です)。

平成28年度からは、早期にニコチン依存症から離脱できるように34歳以下の禁煙治療に対する保険適用の条件が拡大されました。太ることを恐れるよりも、自分と周りの人々のために、きっぱりと禁煙に踏み切ることが大切でしょう。

荒木 葉子 先生

監修者 荒木 葉子 先生 (産業医・内科医 荒木労働衛生コンサルタント事務所所長)
慶應義塾大学医学部卒業後、内科・血液内科専攻。カリフォルニア大学サンフランシスコ校留学。報知新聞社産業医、NTT東日本東京健康管理センタ所長を経て、現在荒木労働衛生コンサルタント事務所所長。内科専門医・産業医・労働衛生コンサルタント。企業の労働衛生と半蔵門病院で内科診療を行う。主な著書に『臨床医が知っておきたい女性の診かたのエッセンス』(医学書院)、『働く女性たちのウェルネスブック』(慶應義塾大学出版会)など。