メタボ予防には、肉も食べたほうがいい、ってホント?
ホントです。
メタボ予防やダイエットのため脂肪が気になる肉類は制限している、という人はいませんか。一見もっともらしいこの発想、実はお勧めできません。良質なたんぱく源である肉の摂取が不足すると、筋肉量が減ってしまい、メタボ予防にはかえってマイナスになる恐れがあるからです。脂肪を気にするなら低脂肪の肉を選び、たんぱく質をしっかりとりましょう。
たんぱく質不足からさまざまなトラブルが
たんぱく質は筋肉だけでなく、さまざまな臓器や血液など体の主要な組織を作る重要な栄養素です。
たんぱく質が足りないと、筋肉量が減少し、それに伴う基礎代謝の低下によって太りやすくやせにくい体になってしまいます。それだけでなく、筋力が落ちると転倒しやすくなります。高齢者の場合の転倒は、寝たきりの大きな原因になる骨折につながりかねません。このほか、血管が弱くなれば脳出血、赤血球が十分に作られなければ貧血、免疫細胞を作る材料不足から肺炎や結核などの感染症にかかりやすくなる――など、たんぱく質不足がもたらす弊害は深刻です。
高齢者に起きている新たな「栄養失調」
近年、上述のようなトラブルに見舞われる高齢者が目立つようになり、その原因を調べるとたんぱく質の摂取不足が浮かび上がってきました。食料事情の良い現代での、新たな「栄養失調」として注目されています。
しかし、トラブルに見舞われた高齢者が必ずしも食事を抜いていたわけではありません。1日3食きちんと食べてはいても、例えば一人暮らしだと自分の好きなものばかり食べてしまい、たんぱく質が足りていないといったことが起きているようなのです。
このような栄養失調状態が続けば、老化に伴って要介護や死亡のリスクが高まることが心配されています。例えば、将来的に介護が必要になるかどうかは歩行能力をみることである程度予測できるとされ、歩行能力に障害があるのとないのとでは、心臓病による死亡リスクが数倍違うといわれています。
このことから、介護や病気に直結する老化を少しでも遅らせることの重要性が指摘され、そのためには筋肉と骨の強さを保つのに欠かせないたんぱく質の摂取が大切であることが認識されるようになりました。