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メタボ予防は幼児のうちから―親子で正しい食習慣を身につけよう

メタボ予防は幼児のうちから―親子で正しい食習慣を身につけよう

 メタボを招くような生活習慣は幼少児期から始まっているといわれ、この時期から生活習慣の乱れに注意する必要があります。なかでも重要な食生活については、離乳期からの配慮が求められます。子どもの正しい食習慣づくりは、親の食習慣の見直しにもつながっていくでしょう。

子ども時代の食習慣は生涯の健康の基礎になる

子どものうちから健全な食習慣を身につけることは、生涯を通して心身の健康を獲得する基礎になるといわれています。

健全な食習慣づくりのスタートは離乳食です。このときに、いろいろな食品の味やにおい、舌触りなどを経験し、そのもとになる食材を見たり触れたりすることで、食べることへの意欲が育まれます。また、どんな場所で誰と食べるかも、「食べることは楽しい」と感じさせることにつながるでしょう。

離乳食の回数が1日3回になったら、できるだけ家族そろって食卓を囲むことが大切です。食事をしながら家族とコミュニケーションを交わすことで、食べることの楽しさを感じ取るとともに、生活に関する基礎を身につけていくことにもつながります。

なかでも朝食は、家族全員の健康のためにも重要です。朝食抜きだったパパやママもこの機会にぜひ、きちんと朝食をとる生活に変えていきましょう。毎朝一定の時間に起きるように心がけ、朝日を浴び、しっかり食べることで、体内時計が整います。子どもの寝つきや睡眠リズムの乱れに悩んでいる場合も、「早寝早起き朝ごはん」が有効です。

子どもには補食をとらせて栄養補給。お菓子や果物の食べすぎには注意

子どもが健康的に成長していくためには、小さな体ながらもたくさん食べる必要があります。例えば1~5歳児だと、体重1㎏当たりで母親の約2倍ものエネルギー量が必要とされます。しかし、子どもの胃腸は大人より小さく機能も未発達ですから、いちどに多くは食べられません。特に1~2歳児頃は乳歯も生えそろっていないため、噛む力が安定していないことが、食べむらにも関係しています。また、こぼさずにうまく食べれるかどうかという点で、スプーンなどの食器の使い方や食べる姿勢も、食事量に影響します。

これらのことから、1日3回の食事のほか、栄養不足にならないために適度な間食(補食)をとる必要があります。間食というと、お菓子などのおやつをイメージしがちですが、あくまで食事を補うものなので、小さいおにぎりや、ふかしいも、ゆでトウモロコシなどがおすすめです。習慣的にお菓子や甘い飲み物、果物を与えていると、子どもがそればかりを欲しがったり、おやつで満腹になって食事量が減ったりして、栄養が偏ることになります。成長に欠かせないたんぱく質やビタミン・ミネラルが不足する一方で、脂質や炭水化物過多となり、将来メタボにつながる小児肥満になりかねません。

歯の健康のためにも、それらのとりすぎには注意が必要です。11~15歳の小児についての報告ですが、摂取エネルギーに占める砂糖の割合やおやつの菓子類・果物の摂取が多いほどむし歯になりやすい、という報告があります。

また、いわゆる“食が細い”子どもに対しては、「お菓子や果物なら食べるから」とたくさんあげてしまいがちです。もちろん、食事の場面で無理強いするのはよくありませんが、食事の栄養バランスを保ちながら少量にして回数を増やしたり、栄養がしっかりとれる補食を用意したりといった工夫を心がけましょう。

小池 澄子 先生

監修者 小池 澄子 先生 (管理栄養士、料理研究家)
女子栄養大学生涯学習講師ほか、複数の大学で非常勤講師を勤め、企業などで健康管理に関わる。食と自然と人を結ぶネットワーク有限会社カナ代表。現在は、クリニックや保育園での栄養相談やアドバイザー、地域で子育て支援、離乳食教室、講演、オーガニック菜食研究など行っている。栄養、料理、農場を通じて心と体と社会の健康を高める情報やレシピを提供し、“命を繋げてゆく食”を柱に食育活動展開中。著書に『簡単でおいしいおやつ』(かもがわ出版)、『おいしい山歩き』(大月書店)、『ステップアップ離乳食』(学習研究社)、『初めての離乳食』(ベネッセコーポレーション)、『黒豆健康生活』(青春出版)など多数。