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更年期は女性の心身の転換点――増える病気に今から対策を

更年期は女性の心身の転換点――増える病気に今から対策を

女性の骨量は閉経後に急速に減少。骨折しやすく、要介護のリスクが高まる

また、骨粗しょう症は65歳以上の女性の半数以上にみられる病気です。骨量が減って骨が“す”が入ったようにスカスカになり、非常に折れやすくなるため、転倒などで背骨や脚の付け根の骨(大腿骨頸部)などを骨折すると、寝たきり・要介護の大きな原因になります。

男女とも20歳頃がピークの骨量は、中年過ぎから少しずつ減ってきますが、女性は閉経前後から急速に減少します。日本女性の平均寿命は87歳(厚生労働省「平成29年簡易生命表」による)ですが、そこには長い寝たきりの期間も含まれているのです。

高齢になっても、できるだけ健康上の問題で日常生活を制限されずに過ごす「健康長寿」を目指すには、骨粗しょう症の予防が重要です。更年期に入る前から、カルシウムの豊富な食品と、その吸収を助けるビタミンDの多い食品を毎日しっかり摂り、適度な運動を習慣化しましょう。さらに、40歳から受けられる骨粗しょう症検診を受診して自分の骨量を知っておくことも必要でしょう。

がんや関節の痛みなども多くなる

女性が更年期ごろから注意すべき病気は、他にもいくつかあります。

  • がん:乳がんは40歳代後半から50歳代前半がピークです。早期発見できれば生存率が高いので、2年に1度は検診を受けましょう。また、子宮体がんは40歳代後半から増え始め、閉経後の50歳代に最も多くなります。一般的な子宮がん検診は「子宮頸がん検診」だけなので、不正出血やおりものの異常に注意しましょう。
  • 膝痛・腰痛:骨や関節・軟骨はエストロゲンによって守られていますから、その分泌が減ると変形性膝関節症や変形性腰椎症が多くなります。早期には、痛みを和らげる治療と運動療法が効果的です。
  • 骨盤臓器脱:女性ホルモンの分泌低下などから骨盤底の筋力が低下し、骨盤内にある子宮、膀胱(ぼうこう)、腸などが垂れ下がってくるものです。出産経験のある中高年女性がかかりやすい病気です。違和感や痛みで始まり、排尿・排便障害につながることもあります。

仕事や子育て、介護などで忙しい年代の女性にとって、自分の体調管理はおろそかになりがちかもしれませんが、その先の人生を充実させるために、今のうちからしっかり備えておきましょう。

荒木 葉子 先生

監修者 荒木 葉子 先生 (産業医・内科医 荒木労働衛生コンサルタント事務所所長)
慶應義塾大学医学部卒業後、内科・血液内科専攻。カリフォルニア大学サンフランシスコ校留学。報知新聞社産業医、NTT東日本東京健康管理センタ所長を経て、現在荒木労働衛生コンサルタント事務所所長。内科専門医・産業医・労働衛生コンサルタント。企業の労働衛生と半蔵門病院で内科診療を行う。主な著書に『臨床医が知っておきたい女性の診かたのエッセンス』(医学書院)、『働く女性たちのウェルネスブック』(慶應義塾大学出版会)など。