脳もメタボな生活で衰える! 今からできる認知症予防
メタボリックシンドローム(以下メタボ)の予防を心がけることは、認知症の予防にもつながります。食生活の乱れや運動不足などから引き起こされる生活習慣病が、認知症の発症や進行にも強い関連のあることがわかっているからです。日頃の生活習慣を見直して、メタボも認知症も予防しましょう。
6年後には認知症患者が約700万人に
認知症は、さまざまな原因により、脳の神経細胞が破壊されたり、働きが悪くなったりすることで起こります。わが国では認知症の高齢者が急増しており、人口の高齢化が現在よりも進む2025年には約700万人、65歳以上の5人に1人という割合になる*1と見られています。
認知症は、原因となる疾患によりいくつかのタイプに分けられます。最も多いのはアルツハイマー型認知症、次いで脳血管型認知症で、この2つで認知症全体の約9割を占めています*2。
アルツハイマー型認知症の根本的な原因はわかっていませんが、脳内に特殊なたんぱく質が異常に蓄積することが深くかかわっていると考えられています。一方、脳血管障害による認知症は、脳の血管が動脈硬化により詰まったり破れたりして(脳卒中)、脳が障害を受けることで起こります。
高血圧や糖尿病など、生活習慣病の予防・改善が認知症予防のカギ
脳血管性認知症は、偏った食生活や運動不足、喫煙習慣などがもたらす生活習慣病が引き金になりますが、アルツハイマー型認知症でも、患者さんの多くが複数の生活習慣病を合併していることが明らかになっています。
生活習慣病のなかでも特に危険視されているのは、血管壁を傷め、動脈硬化を起こしやすくする高血圧と糖尿病です。*3 また、アルツハイマー型認知症では脳内にたまる特殊なたんぱく質が問題視されていますが、これを分解する作用が糖尿病の人では低下することから発症リスクが高くなると指摘されています。さらに、中年期の脂質異常症(特に高コレステロール血症)がアルツハイマー型認知症の危険因子であることもわかっています。*3
最近の研究で、認知症には、その前段階である軽度認知障害(MCI)という状態があることがわかってきました。MCIの期間は約5年といわれ、この間に何の対策も行わない場合、数年後には半数以上の人が認知症に移行するとされています。
MCIおよび認知症対策は、強いかかわりがあるとされる生活習慣病の予防・改善が柱になるでしょう。基本は食生活の見直し、運動不足の解消、禁煙の徹底などで、これらはメタボ対策と共通です。