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野菜や果物をもっと食卓にのぼらせよう

野菜や果物をもっと食卓にのぼらせよう

 野菜や果物には、高血圧や糖尿病、脂質異常などを予防する効果があり、がんにもかかりにくくなるのではないかと考えられています。ところが、今の日本人は、若い世代を中心に野菜・果物の摂取が不足しています。毎回の食卓に野菜料理を欠かさず、果物も1日1回はとるようにしましょう。

特に若い世代に野菜不足が顕著!

「野菜は1日350gとろう」とは、「健康日本21(「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針)」が始まったときからずっと掲げられてきた目標です。この350gという数値は、厚生労働省の栄養調査から、「野菜をどれだけ摂取すればカルシウム、カリウム、ビタミンC、食物繊維などの栄養素を十分に確保できるか」解析して導き出されたもの。特にカリウムや食物繊維には、メタボにかかわる血圧・血糖値の低下、血中脂質改善などの効果があることが報告されています。

しかし、最近の調査(厚生労働省「平成29年国民健康・栄養調査結果の概要」)では、日本人の野菜の摂取量は平均約288gとなっています。年齢層別にみると、男性では30歳代(平均摂取量約257g)、女性では20歳代(同218g)が最も少なく、若い世代ほどあまり野菜を食べていません。それにより、若い世代はビタミンやミネラルなど18種類の栄養素のうち16種類も不足している、との指摘もあります。

一方で60歳以上は男女とも300gを超えています。高齢者で比較的野菜がとれているのは、高齢者にはなじみ深い「主食プラス一汁三菜」という日本の伝統的な食事パターンが寄与しているようです。若い世代のビタミン・ミネラル不足は、「主食プラス一汁三菜」パターンの食事をとる機会が少ないことに加え、朝食を抜きがちなことも影響していると考えられます。

野菜・果物の不足でがんのリスクが高まる

果物もカリウムが豊富で、血圧の低下作用が期待できます。「健康日本21(第二次)」では、1日に200g程度(りんごなら1個、大きめのみかんなら2個)をとることを推奨し、「果物摂取量100g未満の者の割合を30%以下に」という目標を設定しています。しかし、実際には60.5%の人が摂取不足です(厚生労働省「健康日本21(第二次)中間評価報告書」)。

また、国立がん研究センターの「日本人のためのがん予防法」では、がん予防のために「野菜と果物を合わせて毎日400g程度をとる」ことが望ましいとされています。

小池 澄子 先生

監修者 小池 澄子 先生 (管理栄養士、料理研究家)
女子栄養大学生涯学習講師ほか、複数の大学で非常勤講師を勤め、企業などで健康管理に関わる。食と自然と人を結ぶネットワーク有限会社カナ代表。現在は、クリニックや保育園での栄養相談やアドバイザー、地域で子育て支援、離乳食教室、講演、オーガニック菜食研究など行っている。栄養、料理、農場を通じて心と体と社会の健康を高める情報やレシピを提供し、“命を繋げてゆく食”を柱に食育活動展開中。著書に『簡単でおいしいおやつ』(かもがわ出版)、『おいしい山歩き』(大月書店)、『ステップアップ離乳食』(学習研究社)、『初めての離乳食』(ベネッセコーポレーション)、『黒豆健康生活』(青春出版)など多数。