文字サイズ

お酒の飲み過ぎはあなた、家族、社会に深刻な問題をもたらします

お酒の飲み過ぎはあなた、家族、社会に深刻な問題をもたらします

アルコールは3Kを破壊する

アルコールは、「健康、経済、家庭の3Kを破壊する」といわれています。アルコール依存症は「否認の病」と言われており、依存症になっても「いつでも止められるんだから自分は違う」と主張しますし、飲酒量もほとんどの場合実態よりもはるかに少ない量を申告します。

アルコールの健康障害として、皆さんはどのようなものが頭に浮かびますか? アルコール性肝炎、肝硬変、食道静脈瘤、そして肝臓がん。食道炎、胃十二指腸潰瘍。アルコール依存症、記憶障害、認知症、精神疾患。高血圧や心筋梗塞、アルコール性心筋症などの循環器疾患も起こしますし、糖尿病、高血圧症、高尿酸血症にもなりやすいです。がんは、肝臓がんはもとより、食道がん、大腸がん、乳がんも増えるといわれています。

飲酒運転による交通事故は本人のけがはもちろんですが、対人対物など大きな悲劇を起こします。酔って暴れて傷害事件を起こすなど刑事事件にもなりかねません。

経済的には、解雇されたり就業できなかったり、家庭的にはDVや離婚、子どもへの影響など人生全てに影響を及ぼします。

国を挙げてのアルコール対策

わが国では2016年に、アルコール健康障害対策基本法に基づく「アルコール健康障害対策推進基本計画」が策定され、健康障害の予防や対策に加え、本人や家族への支援が進められています。「健康日本21(第二次)」では、生活習慣病のリスクを高める量の飲酒率を男性13%、女性6.4%までに下げ、中学3年生男女約9%、高校3年生男女16%の飲酒率を0%に、妊婦の飲酒率4.3%も0%にすることが目標になっています。

アルコール関連問題については、本人も家族もどこに相談に行けばよいかわからない、という現状があります。精神保健福祉センター、保健所、自助グループ等、医療機関、行政などが連携すること、対応を「見える化する」試みが始まっています。

新入社員の一気飲みは慣例だから、ちょっとした飲酒なら運転しても構わない、無礼講だから羽目を外ししても良い……などということはありません。

くれぐれもお酒によって人生を壊さないように気をつけましょう。

荒木 葉子 先生

監修者 荒木 葉子 先生 (産業医・内科医 荒木労働衛生コンサルタント事務所所長)
慶應義塾大学医学部卒業後、内科・血液内科専攻。カリフォルニア大学サンフランシスコ校留学。報知新聞社産業医、NTT東日本東京健康管理センタ所長を経て、現在荒木労働衛生コンサルタント事務所所長。内科専門医・産業医・労働衛生コンサルタント。企業の労働衛生と半蔵門病院で内科診療を行う。主な著書に『臨床医が知っておきたい女性の診かたのエッセンス』(医学書院)、『働く女性たちのウェルネスブック』(慶應義塾大学出版会)など。