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加熱式たばこでも、禁煙しないとダメですか?

加熱式たばこでも、禁煙しないとダメですか?

【こたえ】
紙巻きたばこに比べて健康被害が少なそうなイメージのある加熱式たばこでも、主流煙には多くの有害化学物質が含まれています。2020年度からは原則屋内禁煙となり、喫煙できる場所が限られた一方で、加熱式たばこの使用者にも禁煙治療が保険適用され、オンライン診療も始まっています。禁煙に踏み切るまたとない機会到来といえるでしょう。

喫煙者のコロナ感染重症化率は3倍以上!

世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス。喫煙者がこのウイルスに感染すると、重症化して人工呼吸器の装着か最悪の場合は死亡するリスクが非喫煙者の3.24倍になるという報告があります。*1 しかし、日本では、閉鎖された喫煙所近辺に立って、あるいは散歩しながらの路上喫煙者が増えるといった思わぬ光景も出現しています。

加熱式たばこなら、喫煙者本人にも周囲にも被害が少ないと考える人は多く、紙巻きたばこから切り替える人が増えています。しかし、その主流煙にはニコチンをはじめ多くの有害化学物質が含まれ、健康への悪影響の可能性は否定できないと考えられています。紙巻きたばこと同様に警戒する必要があるでしょう。

加熱式たばこ喫煙者も禁煙治療が保険適用に

加熱式たばこは販売開始からの年月が浅いため、長期使用による健康への影響は明らかにはなっていません。とはいえ、加熱式たばこや電子たばこによる肺への障害の報告は国内外から相次いでおり、日本でも若者が重症の急性肺炎になったと報告されています。こうしたことから昨秋、日本禁煙学会は加熱式たばこが致死的肺障害を発生させる、という緊急警告を発表し、使用者はただちに禁煙治療を受けるよう勧めています。*2

禁煙治療については今年度から、加熱式たばこの使用者も保険適用の対象となりました。ただし、保険診療で禁煙治療を受けるには、「直ちに禁煙しようと考えていること」など4つの条件に該当していることが必要です。そのうち35歳以上の場合には、ブリンクマン指数(1日喫煙本数×喫煙年数)が200以上であること、という条件があります。加熱式たばこについては、「禁煙治療のための標準手順書 第7版」*3によると、以下のように算定することとなっています。

●加熱式たばこの喫煙本数からブリンクマン指数を算定する場合

  • たばこ葉を含むスティックを直接加熱するタイプ(アイコス、グロー、プルーム・エス、パルズなど)……スティック1本を紙巻きたばこ1本として換算
  • たばこ葉の入ったカプセルやポッドに気体を通過させるタイプ(プルーム・テック、グロー・センスなど)……1箱を紙巻タバコ20本として換算

●ブリンクマン指数の計算例

  • 紙巻きたばこ1日15本を10年、紙巻きたばこ1日5本と加熱式たばこカプセルタイプ(1箱5カプセル入り)1日2カプセルを5年喫煙してきている場合
    (15本×10年)+(5本×5年)+(20本×2/5箱×5年)=215

監修者 荒木 葉子 先生 (産業医・内科医 荒木労働衛生コンサルタント事務所所長)
慶應義塾大学医学部卒業後、内科・血液内科専攻。カリフォルニア大学サンフランシスコ校留学。報知新聞社産業医、NTT東日本東京健康管理センタ所長を経て、現在荒木労働衛生コンサルタント事務所所長。内科専門医・産業医・労働衛生コンサルタント。企業の労働衛生と半蔵門病院で内科診療を行う。主な著書に『臨床医が知っておきたい女性の診かたのエッセンス』(医学書院)、『働く女性たちのウェルネスブック』(慶應義塾大学出版会)など。