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女性の死因でがんより多いのは?

女性の死因でがんより多いのは?

【こたえ】
疾患別の死亡数を女性全体でみると、脳血管疾患と虚血性心疾患などの循環器疾患ががんよりも多くなっています。女性ではあまり血圧を意識していない人が多いようですが、女性ホルモンの分泌が減る更年期以降は高血圧になりやすく、循環器疾患が増加します。若いうちからはもちろん、更年期でも生活習慣改善に取り組めば、血圧上昇を緩やかにできます。

循環器疾患の重要なリスクは高血圧

循環器疾患について、高血圧は重要なリスク因子です。例えば、脳梗塞、くも膜下出血などの脳血管疾患においては、高血圧は加齢とともに最大のリスク因子とされています。また、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患においても、収縮期(最高)血圧が10mmHg上昇すると死亡リスクが1.4倍上昇することが報告されています*1

日本人女性の死因では、年齢が進むごとに脳血管疾患や心疾患の割合が増えていて*2、その原因は女性の高血圧患者の増加であることが指摘されています。高血圧の人の割合は、予備群(正常高値血圧)も含めると、50歳代では約46%、60歳代で57%、70歳以上だと73%にもなっています*3

女性の高血圧は閉経後に増える

高齢女性の高血圧患者増加の背景として考えられているのは、人口の高齢化に伴って、女性が長寿化していることがあげられます。女性は、女性ホルモンの分泌が盛んなうちは、女性ホルモンが動脈硬化を抑え、水分やナトリウムの排泄を促す働きをしてくれるため、男性よりも高血圧になりにくいことがわかっています。

しかし、閉経期を迎え女性ホルモンの分泌が低下すると、血圧は上がりやすくなり、血圧が乱高下することもめずらしくありません。閉経後には閉経前と比べて高血圧の割合が2倍にもなるという報告があるくらいです。さらに、ストレスや睡眠不足、食塩の摂り過ぎ、喫煙、運動不足などといった好ましくない生活習慣があると、高血圧を招くことにつながります。

また、閉経前でも注意が必要なのは妊娠高血圧症候群です。妊娠20週までに高血圧になるものは高血圧合併妊娠、20週後の発症は妊娠高血圧症、たんぱく尿が出るものは妊娠高血圧腎症などと呼ばれ、妊婦と胎児の両方に悪影響があります。これらは妊婦の20人に1人の割合で起こるとされ、肥満、妊婦が高齢(40歳以上)、家族に高血圧の人がいる、初めてのお産――などの条件があるとなりやすいといわれます。

荒木 葉子 先生

監修者 荒木 葉子 先生 (産業医・内科医 荒木労働衛生コンサルタント事務所所長)
慶應義塾大学医学部卒業後、内科・血液内科専攻。カリフォルニア大学サンフランシスコ校留学。報知新聞社産業医、NTT東日本東京健康管理センタ所長を経て、現在荒木労働衛生コンサルタント事務所所長。内科専門医・産業医・労働衛生コンサルタント。企業の労働衛生と半蔵門病院で内科診療を行う。主な著書に『臨床医が知っておきたい女性の診かたのエッセンス』(医学書院)、『働く女性たちのウェルネスブック』(慶應義塾大学出版会)など。