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糖尿病の人が血糖値のほかに特に気をつけたほうがよい検査数値は?

糖尿病の人が血糖値のほかに特に気をつけたほうがよい検査数値は?

【こたえ】
「尿中アルブミン」または「eGFR(クレアチニン)」に留意し、腎機能低下の兆候を見落とさないようにしましょう。食事や運動などの生活習慣の改善と薬物治療で、血糖や血圧、脂質をコントロールし、腎機能の悪化を防ぐことが重要です。

高血糖による動脈硬化で腎機能が低下する

糖尿病性腎臓病(DKD)は、糖尿病性網膜症や糖尿病性神経障害とともに、糖尿病の三大合併症と呼ばれています。

血糖をコントロールするホルモンであるインスリンの分泌や働きが悪いと、高血糖の状態が続き、血管の内壁が傷ついて全身で動脈硬化が進行します。それにより、腎臓の糸球体(しきゅうたい)と呼ばれる毛細血管が壊れ、血液をろ過して尿をつくる機能が低下する、あるいは腎臓全体の血管に動脈硬化が起こるのが糖尿病性腎臓病です。

前者は、「糖尿病性腎症」として知られているもので、初期には糸球体にアルブミンというたんぱく質がわずかに尿に漏れ出て(アルブミン尿)、さらに進むとアルブミン以外のたんぱく質も漏れ出てきます(たんぱく尿)。一方、後者は高齢の糖尿病患者さんに増えているもので、糸球体からアルブミンは漏れ出ないものの、腎臓全体の働きが低下してしまいます。

いずれも重症化して末期腎不全になると、人工的に腎機能を代替する血液透析療法を一生続けるか、腎移植を受けなくてはなりません。日本で昨年(2020年)発表された、国内の15施設の糖尿病患者さん9,342名を対象としたコホート研究*1では、2人に1人が糖尿病性腎臓病という結果でした。同研究では、もともと腎機能が正常だった人のうち、1割の人に4~5年で急激に低下するパターンがみられ、早期発見・早期治療が重要視されています。

高血糖が続く人や糖尿病歴が長い人は、かかりつけ医で腎機能のチェックを

糖尿病性腎臓病は、はじめは自覚症状がほとんどないため、「尿中アルブミン」または「eGFR(クレアチニン)」をチェックし、腎臓の異常や腎機能の低下をみつけることが大切です。

ただし、特定健診などの一般的な健康診断で行われる尿検査では、尿中アルブミンではなく尿たんぱくしか調べません。早期発見のためには、きちんと尿中アルブミンを調べる必要があります。特に治療を中断してしまった人、未受診の人(糖尿病とまだ診断されていない高血糖の人を含む)は、かかりつけ医で尿の詳細検査を受けましょう。

また、腎機能低下を表すeGFRは、血清クレアチニン検査で測るクレアチニン値をもとに算出されるものです。2018年度以降の特定健診では、血圧または血糖値が保健指導判定値以上で医師が必要と認める人に、血清クレアチニン検査が追加されています。

荒木 葉子 先生

監修者 荒木 葉子 先生 (産業医・内科医 荒木労働衛生コンサルタント事務所所長)
慶應義塾大学医学部卒業後、内科・血液内科専攻。カリフォルニア大学サンフランシスコ校留学。報知新聞社産業医、NTT東日本東京健康管理センタ所長を経て、現在荒木労働衛生コンサルタント事務所所長。内科専門医・産業医・労働衛生コンサルタント。企業の労働衛生と半蔵門病院で内科診療を行う。主な著書に『臨床医が知っておきたい女性の診かたのエッセンス』(医学書院)、『働く女性たちのウェルネスブック』(慶應義塾大学出版会)など。