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やせていてもLDLコレステロール値が高いのは、なぜ? 問題あるの?

やせていてもLDLコレステロール値が高いのは、なぜ? 問題あるの?

【こたえ】
肥満でなくてもLDLコレステロール値が高くなる原因の1つは、肉やバターなど動物性脂肪に多く含まれる飽和脂肪酸をとり過ぎるなど、食習慣の乱れです。生活習慣を改善しなければ動脈硬化が進みます。そして、もう1つの原因は、生活習慣とは関係なく遺伝によるもの。若くても心筋梗塞をおこす危険があるので、早く気づいて治療することが重要です。

LDLコレステロールが血管壁にたまると動脈硬化に

LDLコレステロールは血液中に存在し、肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ役割を担っています。しかし、その量が増えすぎると血管壁にたまり動脈硬化を進行させることから、悪玉コレステロールと呼ばれています。一方のHDLコレステロールは、血管壁にたまった余分なコレステロールを回収して肝臓に戻す働きがあるため、善玉コレステロールと呼ばれます。

特定健診(メタボ健診)では血中脂質を調べる検査として、LDLコレステロールとHDLコレステロール、中性脂肪を測定します。このうち1つでも診断基準値を超えた場合は「脂質異常症」が疑われ、LDLコレステロールの場合は「140mg/dL以上」が該当します。

やせていてもLDLコレステロール値が高くなることも

日本では、高コレステロールの人の割合が、やせ・標準・肥満の人の間で差がなくなってきているという報告があります。それによると、特に50歳以上の女性では、やせていながら高コレステロールである人の割合が、昭和55年から平成22年までの30年間で3倍以上に増えて、肥満者とほとんど差がなくなっていました。また男性では、標準体重の人と肥満者で同様にわずかな差しかなくなっていました。この原因として、食事でとる飽和脂肪酸の増加が指摘されています。肥満解消目的で糖質制限を行い、動物性脂肪を多くとっている人は要注意。

また、遺伝的な要因によりLDLコレステロール値が高くなる家族性高コレステロール血症という病気もあります。脂質異常症の多くは生活習慣が原因となりますが、家族性高コレステロール血症は生活習慣に関係なく発症します。肝臓から全身の細胞に運ばれるはずのLDLコレステロールが、遺伝子異常のために細胞内に入っていくことができず血液中に増え、それが酸化して血管壁に入り込んで動脈硬化をおこします。

家族性高コレステロール血症では、胎児のときからLDLコレステロール値が高く、そのため20~30代でも動脈硬化が進んで、狭心症や心筋梗塞を発症する危険があります。しかし、この病気になっていてもほとんどの人が気づいていないと指摘されています。以下の3項目のうち2項目以上に当てはまれば家族性高コレステロール血症と診断されるので、自分でチェックしてみて、思い当たる場合には、脂質異常症に詳しい内分泌・代謝内科や循環器内科などを受診しましょう。

●家族性高コレステロール血症の診断基準(15歳以上)

①LDLコレステロール値が非常に高い(180mg/dL以上)。
②両親、祖父母、兄弟姉妹などに、家族性高コレステロール血症の人や、若くして(男性55歳未満、女性65歳未満)狭心症や心筋梗塞をおこした人がいる。
③アキレス腱に脂肪の塊である黄色腫(おうしょくしゅ)がある。手の甲、ひじや膝の表面にできることもある。

板倉 弘重 先生

監修者 板倉 弘重 先生 東京大学大学院医学研究科卒。同大学第三内科、国立健康・栄養研究所臨床栄養部長、ブラジル リオグランデヂス-ルカソリック大学客員教授、茨城キリスト教大学生活科学部食物健康科学科教授等を経て現職。日本臨床栄養学会理事長、日本栄養改善学会理事、日本栄養・食糧学会副会長、日本動脈硬化学会評議員名誉会員、日本病態栄養学会理事、第33回日本動脈硬化学会総会会長などを歴任。