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尿たんぱくが陽性……どんな病気の可能性がある?

尿たんぱくが陽性……どんな病気の可能性がある?

【こたえ】
尿は腎臓でつくられます。腎臓は血液をろ過し、老廃物や余分な水分、塩分を尿として排出します。たんぱく質は体の重要な構成成分なので、通常はほとんど尿中には混ざりませんが、腎臓に何らかの異常があると尿に漏れ出します。健診で尿たんぱくが検出されたら、必ず再検査を受けましょう。

たんぱく尿は腎臓からのSOS

液のろ過は、腎臓の主要な働きの1つです。それによって、血液中に混じる老廃物や多過ぎる水分、塩分などを尿として体外に排出します。一方、たんぱく質は体にとって必要な成分なので、健康体であれば再吸収されて血液に戻されます。ところが、腎臓の機能に異常があると、たんぱく質は尿中に漏れ出してしまいます。これをたんぱく尿といいます。たんぱく尿は腎臓が発するSOSのサインなのです。

腎臓の働きが低下すると、尿を十分につくれなくなり、老廃物や水分、塩分が体内にたまるようになります。腎臓には血圧をコントロールする働きがあるので、腎機能の低下は血圧の上昇を招きます。体内の水分の量と濃度を調整し、細胞が働きやすい環境を維持するという重要な機能も損なわれます。このように腎臓の機能が低下した状態が続くことを総称して慢性腎臓病(CKD)と呼び、日本には約1,330万人の患者がいると推計されています。

無症状で進行するCKD。早期発見のために必ず再検査を

慢性的に腎機能が低下した状態のCKDは、早期には自覚症状はなく、進行するにつれて全身の倦怠感、食欲低下、貧血、手足のむくみ、動悸・息切れなどの症状が現れてきます。腎機能が失われて尿をつくることができなくなると、腎移植や人工透析が必要になります。そんな事態に陥る前にCKDを早期に発見するためにも、尿たんぱくが陽性だったら必ず再検査を受けることが重要です。

メタボ健診での尿たんぱくの判定(標準的な健診・保健指導プログラム【平成30年度版】より)

●陽性(1+/2+/3+)……CKDの需要なサイン。医療機関に受診を。
●弱陽性(±)……確定的ではないが、CKDを示唆するサイン。生活習慣の改善が必要。
●陰性(―)……継続して健診受診を。

この検査で陽性だった場合、それが一時的なものか慢性的なものかを確認するため、医療機関で再度、尿たんぱく検査を受けます。ここでも陽性となったら、血液検査で血液中の老廃物であるクレアチニンの濃度を調べ、CKDかどうかの診断が行われます。

板倉 弘重 先生

監修者 板倉 弘重 先生 東京大学大学院医学研究科卒。同大学第三内科、国立健康・栄養研究所臨床栄養部長、ブラジル リオグランデヂス-ルカソリック大学客員教授、茨城キリスト教大学生活科学部食物健康科学科教授等を経て現職。日本臨床栄養学会理事長、日本栄養改善学会理事、日本栄養・食糧学会副会長、日本動脈硬化学会評議員名誉会員、日本病態栄養学会理事、第33回日本動脈硬化学会総会会長などを歴任。