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何年も健康診断を受けていない妻。元気だから心配ない?

何年も健康診断を受けていない妻。元気だから心配ない?

【こたえ】
初期にはほとんど自覚症状がない生活習慣病をはじめとする病気を、早期に見つけるのが健診です。健診受診にかかる時間は半日程度。自分自身のみならず、家族に負担をかけないためにも、健康を維持することが大切です。家族が協力し、健診受診を勧めましょう。

健診は生活習慣病の早期発見の重要な機会

会社勤めの人なら受けやすい健診も、家事や子育て、介護などで忙しい主婦となると、そうはいかないようです。自分自身の健康は二の次になってしまっていることも、健診から足が遠のいている理由の1つかもしれません。加えてコロナ禍で、緊急事態宣言下では、集団で実施する各種健診が延期されてきましたが、宣言が解除されても受診控えが続いているといわれています。

健診の大きな目的は健康状態を確認し、病気の予防と早期発見・早期治療です。中年すぎに増える生活習慣病は、初期段階だとほとんど自覚症状がなく、異変に気づいたときには血管や臓器などの障害がかなり悪化していた、ということが少なくないようです。このため、自覚症状がないうちに生活習慣病を見つけるには、定期的に健診を受けることが大変重要なのです。

毎年定期健診を受診してこそ意味がある

健診は1回受ければそれでいい、というものではありません。毎年定期的に受け続けることで、現在の検査数値を過去の数値と比較することができます。

その結果、数値が基準値内におさまっていたとしても、前回やそれ以前よりも悪くなっている場合には注意が必要です。普段の生活習慣の中に、数値を悪化させる何らかの原因があるのかもしれません。また、気になって精密検査を受けてみたら、隠れていた異常が見つかった、ということもあります。

基準値から外れた数値が出たら即、病気とは必ずしもなりませんが、何らかの異常が体の中で起きていると考えたほうがよいでしょう。これを放っておけば病気になりやすい、という警報と受け止めなければいけません。

板倉 弘重 先生

監修者 板倉 弘重 先生 東京大学大学院医学研究科卒。同大学第三内科、国立健康・栄養研究所臨床栄養部長、ブラジル リオグランデヂス-ルカソリック大学客員教授、茨城キリスト教大学生活科学部食物健康科学科教授等を経て現職。日本臨床栄養学会理事長、日本栄養改善学会理事、日本栄養・食糧学会副会長、日本動脈硬化学会評議員名誉会員、日本病態栄養学会理事、第33回日本動脈硬化学会総会会長などを歴任。