健診で問題がない人でも、禁煙しなきゃダメ?
【こたえ】
喫煙は、内臓脂肪型肥満、高血糖、高血圧、脂質異常とならび、動脈硬化の危険因子とみなされています。たとえ、ある年の健診では問題がなかったとしても、喫煙を続けていれば、やがては動脈硬化の危険が高まります。また、たばこから立ちのぼる煙は周囲の人にも悪影響を及ぼします。ぜひ、今日から禁煙に踏み切ってください。
喫煙は生活習慣病や動脈硬化を進行させる
たばこの煙には、ニコチンや一酸化炭素、活性酸素などの多くの有害物質に加え、70種類以上の発がん物質も含まれているといわれ、体にさまざまな悪影響をもたらします。
ニコチンは、血管を収縮させて血圧を上昇させます。また、脂肪細胞から分泌される善玉の生理活性物質・アディポネクチンの分泌を減らして、インスリンの働きを阻害するので、血糖値の上昇も招くなど、動脈硬化を進行させる大きな要因になります。活性酸素は、悪玉といわれるLDLコレステロールを酸化させて血管壁にたまりやすくします。そして、ニコチンの血管収縮作用と相まって、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めます。多くの発がん物質が、肺がんをはじめとする全身のがんのリスクを高めることは言うまでもありません。
喫煙習慣があると、特定保健指導のレベルが上がることも
特定健康診査(メタボ健診)では、内臓脂肪型肥満を推測する「腹囲」に加え、「血糖」「血圧」「脂質」のどれか1つが基準値以上だった場合、特定保健指導の「動機づけ支援」の対象になります。
さらに、質問票への回答で「喫煙習慣あり」とみなされたら、指導のレベルが上がって「積極的支援」と判定され、生活習慣改善のためにより細かなサポートを受けることになります。これは、喫煙がメタボにつながる重大な要因の1つと考えられているからです。
なお、近年、加熱式たばこ利用者が増えていますが、加熱式たばこであっても発がん物質は通常のたばこと同じように含まれており、喫煙者は特定保健指導の対象となります。