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不整脈の疑いで心電図検査が追加されたけど、どういうこと?

不整脈の疑いで心電図検査が追加されたけど、どういうこと?

【こたえ】
心臓の動きの規則的なリズムが乱れるのが不整脈で、誰にでも起こる症状です。治療の必要がないものが多い一方で、命にかかわるケースもあります。特定健康診査(メタボ健診)では、収縮期血圧が140mmHg以上もしくは拡張期血圧が90mmHg以上、または問診などから医師が必要と診断した場合に、心電図検査が追加されます。

心電図検査は心臓の活動状態を調べる基本の検査

心臓はポンプのように全身に血液を送り出しています。心臓の右心房にある洞結節(どうけっせつ)というところで生み出される弱い電流が、心臓の収縮と拡張を促して血液を送り出しているのです。この収縮と拡張が一定のリズムで繰り返されるのを拍動といい、正常な心臓なら1日約10万回、規則的な拍動を繰り返しています。このときに発生している微弱な電流をとらえ、波形として記録して変化を調べるのが心電図検査で、心臓の電気的な活動を調べる基本的な検査です。

心電図の検査で一般的によく行われる「安静時心電図検査」は、ベッドにあお向けになり、胸に6カ所と両手首、両足首に1カ所ずつ、あわせて10カ所に電極を貼り付けて波形を記録します。それを正常な波形と比較して、異常がないかどうかを調べます。

心電図検査で見つかる不整脈には主に3つのタイプがある

安静時心電図検査により、拍動のリズムや回数が乱れる不整脈を見つけることができます。不整脈には、脈が飛ぶように感じる期外収縮、脈が遅くなる徐脈、脈が速くなる頻脈の、大きく分けて3つのタイプがあります。

・期外収縮……正常な拍動の間に、ときどき不規則な拍動が現れるもの。不規則な拍動は弱いため、脈として捉えられず、途切れたように感じられます。症状としては、動悸(どうき)や胸の不快感が起こりますが、期外収縮は健康的な人にも起こりがちで、ほとんどの場合、心配はありません。自律神経の乱れが原因とされています。

・徐脈(じょみゃく)……拍動が異常に少なくなるタイプで、1分間に50回以下だと徐脈と診断されます。息切れ、だるさ、足のむくみ、めまい、失神、心不全などの症状があります。徐脈は、心臓を動かしている電気信号がうまく伝わらないことで起こり、高齢者や動脈硬化が進んでいる人に多い症状です。

・頻脈……拍動が1分間に100回以上と異常に速くなるタイプ。動悸、胸の痛み、不快感、失神などの症状があり、突然死につながるものもあって、最も危険な不整脈とされています。心筋症や心不全といった心臓の病気が原因とされていて、血縁者に不整脈で突然死した人がいる場合は注意が必要です。

板倉 弘重 先生

監修者 板倉 弘重 先生 東京大学大学院医学研究科卒。同大学第三内科、国立健康・栄養研究所臨床栄養部長、ブラジル リオグランデヂス-ルカソリック大学客員教授、茨城キリスト教大学生活科学部食物健康科学科教授等を経て現職。日本臨床栄養学会理事長、日本栄養改善学会理事、日本栄養・食糧学会副会長、日本動脈硬化学会評議員名誉会員、日本病態栄養学会理事、第33回日本動脈硬化学会総会会長などを歴任。