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コロナ禍でリスク増大! 糖尿病の怖さは合併症にある

コロナ禍でリスク増大! 糖尿病の怖さは合併症にある

糖尿病は、初期には自覚症状があまりないまま進行し、放置していると、やがては日常生活を脅かす合併症を招くのが怖いところです。コロナ禍の今、外出自粛や在宅勤務、受診控えなどで糖尿病のリスクが高まっています。特定健康診査(メタボ健診)などで高血糖を指摘されたら、自覚症状がなくても血糖のコントロールが必要です。

怖い三大合併症、がんや認知症のリスクも

血液とともに全身を流れているブドウ糖の濃度(血糖値)が、異常に高い状態が続くのが糖尿病です。その状態が続くと血管は傷つき、特に細い血管のある神経や目、腎臓などがその影響を強く受けます。こうして起こるのが合併症で、糖尿病神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病性腎症が三大合併症と呼ばれます。

比較的早期に起こりやすい糖尿病神経障害では、手足のしびれや麻痺(まひ)、痛みなどがあり、自律神経が障害されると内臓の不調が現れます。次に現れやすい糖尿病網膜症では、網膜剥離(はくり)が起こり、視力低下から失明することも。糖尿病発症から十数年が経過すると、糖尿病性腎症が起こりやすくなります。腎機能が低下して重症化すると、人工透析や腎移植が必要になることがあります。

このほか、動脈硬化が進みやすいことから、心臓や脳、足などに重大な障害のリスクが高まります。また、がんや認知症などさまざまな病気を引き起こしやすくなることも指摘されています。

コロナ禍も大きなリスクに

新型コロナによる外出自粛や在宅勤務の広がりは、一方で糖尿病のリスクを高めるおそれがあることがわかってきました。これまでとは大きく異なる生活習慣の変化は、外出時間の減少やストレス増加、運動不足などをもたらし、健診などでの検査数値の悪化という事態も起きているようです。過去1~2カ月の血糖値の状態を示す指標であるヘモグロビンA1cやBMI(体格指数)、中性脂肪、血糖値などの数値の悪化から、8割に上る医師が、コロナ禍によって糖尿病へのリスクが高まったと危惧しているという報告もあります。

健診控えで血糖値の変化に気づくのが遅れると、高血糖から糖尿病に進行させてしまうおそれがあります。運動不足やストレス過多に陥りやすいコロナ禍の今だからこそ、きちんと健診を受けることが重要です。

また、自己判断で通院控えをしていると、糖尿病を悪化させる可能性があります。感染リスクを避けられるオンライン診療ができるのなら、ぜひ活用してください。

板倉 弘重 先生

監修者 板倉 弘重 先生 東京大学大学院医学研究科卒。同大学第三内科、国立健康・栄養研究所臨床栄養部長、ブラジル リオグランデヂス-ルカソリック大学客員教授、茨城キリスト教大学生活科学部食物健康科学科教授等を経て現職。日本臨床栄養学会理事長、日本栄養改善学会理事、日本栄養・食糧学会副会長、日本動脈硬化学会評議員名誉会員、日本病態栄養学会理事、第33回日本動脈硬化学会総会会長などを歴任。