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自覚なく進行する慢性腎臓病(CKD)。発見と予防のカギは?

自覚なく進行する慢性腎臓病(CKD)。発見と予防のカギは?

慢性腎臓病(CKD)は、腎臓の機能低下が長期間続いている状態で、日本では成人の8人に1人いるといわれています。早期には自覚症状がなく、進行すると人工透析や腎移植が必要になることも。特定健康診査(メタボ健診)では、尿たんぱく検査で腎機能を調べます。早期発見のために健診は必ず受けましょう。

腎臓の働きが低下しても、自覚症状は現れにくい

腎臓は体内にたまった老廃物や余分な水分、塩分などを尿として排泄するのが主な働きです。それ以外にも、血圧や体内の酸素濃度の調整、骨の維持、臓器の働きに関係する物質の濃度をコントロールするなどの働きもしています。

このため、腎臓の機能が低下すると体内環境が乱れ、体にさまざまな不調が現れます。手足のむくみ、食欲低下、貧血、動悸(どうき)・息切れなどは、腎臓の働きが失われるほどに進行すると起こる症状です。こうした腎臓の機能低下が3カ月以上続くことを、慢性腎臓病(以下、CKD)と総称しています。

CKDは初期には自覚症状がないまま少しずつ進行し、腎機能が失われるまでになると尿が作れなくなります。そうなったら、人工透析や腎移植などによって腎臓の機能を肩代わりさせなくてはなりません。

CKDの大きな原因は糖尿病や高血圧

CKDの原因は、約7割が糖尿病や高血圧です。これらの病気は血管を傷つけて動脈硬化を進行させます。腎臓は毛細血管が集まった臓器のため、傷つきやすいのです。また、CKDがあると心臓病や脳卒中なども起こりやすくなります。これは、糖尿病や高血圧が腎臓だけでなく心臓や脳の血管でも動脈硬化を進行させるためです。

腎臓の機能は尿たんぱく検査で調べます。体に必要なたんぱくは、通常は尿に排出されません。しかし、腎臓に何らかの異常があると、血液中のたんぱくが尿に漏れ出します。その有無を調べることで、腎機能が正常かどうか推測できます。

メタボ健診などで、尿たんぱくが「陰性(-)」であれば問題ありません。「弱陽性(±)」だとCKDを示唆するサインなので、指示があれば再検査を受けましょう。「陽性(1+、2+、3+)」はCKDのサインです。発熱や運動によっても尿たんぱくが検出されることがあるので、医療機関で必ず再検査を受けましょう。

医療機関の再検査でも「陽性」だった場合は、血液検査でクレアチニン濃度を調べます。クレアチニンは血液中の老廃物で、その濃度が高いほど腎機能が低下していることが疑われます。これら、尿と血液の検査によってCKDの診断が行われます。

板倉 弘重 先生

監修者 板倉 弘重 先生 東京大学大学院医学研究科卒。同大学第三内科、国立健康・栄養研究所臨床栄養部長、ブラジル リオグランデヂス-ルカソリック大学客員教授、茨城キリスト教大学生活科学部食物健康科学科教授等を経て現職。日本臨床栄養学会理事長、日本栄養改善学会理事、日本栄養・食糧学会副会長、日本動脈硬化学会評議員名誉会員、日本病態栄養学会理事、第33回日本動脈硬化学会総会会長などを歴任。