子どもも生活習慣病になるって、本当?
一般的には、成人の病気と考えられている生活習慣病ですが、子どもも無縁ではありません。原因となるのは成人と同様に肥満で、成人後のメタボリックシンドロームにつながりやすいとされています。子どもの肥満は家族の生活習慣に影響されやすいので、家族ともども規則正しい生活習慣を実践することが重要です。
増える子どもの肥満、背景には生活習慣の変化が
子どもの肥満は年を追うごとに増えていて、6~12歳の肥満児の割合が1977年に5%足らずだったものが、その後30年で8%以上になったとのデータがあり、さらに2020年度の10歳男児の肥満傾向児は14%以上になっています*1。子どもの肥満増加の背景にあるのは、生活習慣の急速な変化でしょう。
食事の面では、食の欧米化に伴う摂取エネルギーの増加があります。また、夜型生活習慣の低年齢化も懸念材料の1つで、夜遅くの食事や間食の摂取が増えることで、朝食の欠食につながります。朝食を欠食しがちな子どもには肥満が多く、午前中の集中力や意欲の低下という精神面の影響も指摘されています。
運動面では、テレビ、動画、ゲーム、インターネットといった室内遊びの長時間化が外遊びの時間を減らし、運動不足になりかねません。また、アメリカの調査ですが、テレビに向かう時間が長い子どもほどコマーシャルで流れるお菓子を食べる傾向にあり、摂取エネルギー過剰で肥満につながると考えられています。
また、両親とも肥満の家庭の子どもの80%に肥満が現れ、両親とも肥満なしの子どもの肥満率は20%にとどまっているという報告もあります。
三つ子の習慣は百まで続く? 重要な親の役割
子どもの肥満の5~10%には、高血圧、2型糖尿病、脂質異常症などの合併症があるという指摘があり、子どもの肥満の増加が生活習慣病の増加につながると懸念されています。子どもの頃に生活習慣病を発症すると、病気にかかっている期間が長くなることから、成人後にも合併症のおこる頻度が高くなる傾向にあるようです。
生活習慣の側面からみた子どもの健康づくりは早いほどよい、といわれます。「三つ子の魂百まで」ということわざがありますが、3歳の頃の生活習慣はその後も続く傾向にあるようです。例えば、3歳の頃に早寝習慣だった子どもは、小学4年生時も早寝の傾向にあり、その逆のパターンもみられるという報告があります。
こうした生活習慣に大きな影響を与えるのは両親の役割で、夜遅い食事やテレビの視聴、起床時間などは両親の生活ぶりと関連がみられます。3歳から5歳にかけて肥満児は増加するといわれます。子どもの肥満を防ぐための望ましい生活習慣の確立に、幼児期において両親の果たす役割は非常に重要だといえるでしょう。