不規則な生活習慣は要注意。突然死を招く心筋梗塞を予防しよう
冬は心筋梗塞が起こりやすい時期です。心筋に血液を送る冠状動脈に動脈硬化があると、寒さの刺激による血圧の急激な変動や血管の収縮などにより血流が滞るためです。死に直結する心筋梗塞を防ぐには、動脈硬化をもたらすような生活習慣を改めることが重要です。心身のストレスや抑うつもリスクになるので、心の健康にも注意が必要です。
冠状動脈が詰まると心筋が壊死(えし)する
心臓の周りを取り巻いている冠状動脈は、心筋に酸素や栄養を補給して心臓の活動を支えています。ここに動脈硬化が起こって血管の通り道が狭くなると、血液が流れにくくなり、そこに血栓(血液のかたまり)が生じると冠状動脈は詰まってしまいます。
冠状動脈の血流が途絶えると、心臓をわしづかみされるような激しい痛みに襲われます。やがて、酸素の供給が断たれた心筋細胞は壊死してしまい、発症から数時間で30~50%の人が死に至るとされています。これが心筋梗塞の恐ろしさです。
血管壁の小さな傷からLDLコレステロールが侵入
動脈硬化の原因の1つとされるのは、血液中にあるコレステロールのうちのLDLコレステロールです。増えすぎると血管壁に入り込むため「悪玉」と呼ばれています。
血糖の増加や血圧上昇、喫煙などの刺激が続くと血管壁に小さな傷ができます。そこから、増えすぎたLDLコレステロールが血管壁の内側に侵入し、酸化して変性LDLになります。すると、これを異物とみなした免疫細胞のマクロファージが集まってきて変性LDLをどんどん取り込み、泡沫(ほうまつ)細胞というものに変化して血管の内側にたまります。これが動脈硬化の大きな原因となるのです。
泡沫細胞の蓄積が続くと、血管壁の内側にこぶのようなものができ、動脈硬化が進みます。この盛り上がったこぶは「プラーク」と呼ばれ、大きくなるほど血液の通り道は狭くなってしまいます。同時に、プラークを覆っている膜は薄くなり、破れやすくなっています。膜が破れると、その傷をふさぐために血栓が生じ、血管を詰まらせてしまうのです。これが冠状動脈で起こると心筋梗塞を起こします。