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中性脂肪値が高めだったら、脂っぽいものを控えればOK?

中性脂肪値が高めだったら、脂っぽいものを控えればOK?

【こたえ】
中性脂肪になるのは、主に肉類や乳製品、植物油など、脂質を含む食べ物があげられますが、それだけではありません。ごはんやめん類、パン、砂糖、果物、アルコールなどの糖質も同様で、とりすぎると中性脂肪が増えます。中性脂肪が気になる人は、腹八分目の食事を心がけるとともに、運動を習慣化して余分な中性脂肪を消費しましょう。

脂質だけでなく、糖質も過剰だと体脂肪に

特定健康診査(メタボ健診)で、中性脂肪値が150mg/dL以上だと脂質異常症と判定されます。普段の食生活で、肉や揚げ物などを控えているのに、中性脂肪値が高めだったら「どうして?」と思うかもしれません。そこで思い返していただきたいのは、ご飯やめん類、パンなどの主食や甘い菓子や飲料、果物、アルコール類などをとりすぎていないかということ。これらに豊富な糖質は、一部がエネルギー源として使われますが、余った分はブドウ糖として肝臓に蓄えられ、中性脂肪に合成されます。それが血液の中に入り、余った分は体脂肪として蓄積されるのです。

中性脂肪は、体を動かす重要なエネルギー源ですが、主に肉の脂(あぶら)、バターなどの乳脂肪、植物油などの脂質が、体内に取り込まれて中性脂肪になります。これが血液中のたんぱく質と結びついて体内の各組織に供給され、エネルギー源として私たちの体の活動を支えています。しかし、体の活動があまり活発でないと、中性脂肪は余分な脂肪として皮下脂肪や内臓脂肪として蓄えられてしまいます。

内臓周辺にたまった中性脂肪は、動脈硬化の危険因子に

脂質異常症は自覚症状がなく放置されがちですが、確実に動脈硬化を進行させます。中性脂肪は動脈硬化の原因となり、悪玉といわれるLDLコレステロールを増やし、逆に動脈硬化を抑制することから善玉といわれるHDLコレステロールを減らすことがわかっています。

中性脂肪が腸や肝臓の周りにたまったものが内臓脂肪です。その脂肪細胞からは血液中の中性脂肪を増やしたり、血圧や血糖値を上げたりする悪玉物質が分泌され、動脈硬化を進行させるのです。

板倉 弘重 先生

監修者 板倉 弘重 先生 東京大学大学院医学研究科卒。同大学第三内科、国立健康・栄養研究所臨床栄養部長、ブラジル リオグランデヂス-ルカソリック大学客員教授、茨城キリスト教大学生活科学部食物健康科学科教授等を経て現職。日本臨床栄養学会理事長、日本栄養改善学会理事、日本栄養・食糧学会副会長、日本動脈硬化学会評議員名誉会員、日本病態栄養学会理事、第33回日本動脈硬化学会総会会長などを歴任。