肝機能の数値が悪いのは何が原因? 何をすれば改善できる?
【こたえ】
肝機能の検査で見つかる異常値の多くは脂肪肝です。脂肪肝は、お酒の飲みすぎによる「アルコール性脂肪肝」と、主に食べすぎが原因で起こる「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」の2つに分けられます。近年増加しているNAFLDは、食生活を見直し、運動習慣を身につけることが重要です。
異常値の多くは肝臓に中性脂肪がたまった「脂肪肝」
肝機能は血液検査で調べることができます。代表的な検査項目としてAST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GT(γ-GTP)の3つがあります。いずれも肝臓に存在する酵素で、肝臓の細胞に障害が発生すると血液中にもれ出てくるため検査値が上昇します。
この検査でよく見つかるのが脂肪肝です。脂肪肝とは肝臓に中性脂肪が過剰にたまった状態のことで、フォアグラ(ガチョウやアヒルの肝臓を肥大させた食材)にたとえられます。その原因として知られているのがお酒の飲みすぎです。長期にわたって多量の飲酒を続けると、肝臓でアルコールが分解される際に中性脂肪の合成が高まり、蓄積され、脂肪肝になると考えられています。これを「アルコール性脂肪肝」といいます。
しかし、近年増加傾向が問題視されているのは、「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD:ナッフルディー)」です。NAFLDの主な原因は、食べすぎです。特に気をつけたいのが、ご飯やめん類、甘いものなどに多く含まれる糖質。糖質は体を動かすエネルギー源になりますが、運動不足などが理由で使われずに余ってしまった分は、中性脂肪に変換されて肝臓にたまるのです。
放置すると肝硬変や肝臓がんのリスクも
NAFLDは、男女を問わずみられますが、女性は閉経後に増える傾向にあります。また、肥満や高血圧、糖尿病、脂質異常症を伴っていることが多く、メタボとも密接に関連しています。
さらに、NAFLDから進行して炎症が起こったものを「非アルコール性脂肪肝炎(NASH:ナッシュ)」と呼び、放置していると肝硬変や肝臓がんに進んでしまう恐れがあります。肝臓は自覚症状を感じにくいため、お酒を飲む人も飲まない人も、肝機能の数値に注意しましょう。