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動物とのふれあいで元気回復

動物とのふれあいで元気回復

 動物とふれあうことが心と体の両面によい効果があることがわかっています。好きな動物を飼うことができればよいのですが、それが難しい場合でも、動物園に出かけたり、写真を眺めるだけでも効果が期待できます。

動物を飼うことで心も体も健康に

 動物を飼うことでのふれあいによって、「感情が豊かになる」「心が安らぐ」「行動への意欲がわく」など精神面の効果が期待できます。さらに、血圧や脈拍が落ち着いたり、散歩などの世話によって運動量が増えてメタボ予防にもつながるなど、肉体的にもよい効果が期待できるのです。
 また、訓練を受けた動物の助けを借りて、体の機能や心の病気を改善させる「アニマル・アシステッド・セラピー」も広がりつつあります。とくに治療ということでなくても、生活のなかで動物を飼うことでさまざまなよい作用が考えられます(下記、ペットを飼うことによる作用を参照)。

動物園に行くだけでもストレス解消効果がある

 仕事が忙しくて世話ができなかったり、マンションに住んでいたりなどの理由で、動物が好きでも、ペットを飼えないこともあります。そんな場合、動物園で数時間過ごすだけでも効果があるというデータがあります。これは、動物園に到着した直後と、動物園で2~3時間過ごした後に調査したもので、血圧、唾液中のストレスホルモンは低くなっており、気分尺度は上昇したというものです。動物好きの人は、動物園に行くだけでもストレス解消に効果的といえます。
 また、高血圧の患者さんに(1)魚が泳いでいる水槽、(2)魚がいない水槽、(3)快適な風景のポスターを見せて、血圧の変化を調べたところ、(1)魚が泳いでいる水槽を見ているときがもっとも血圧低下の持続性が高かったというデータもあります。
 動物園に出かけたり、好きな動物のポスターを貼ったりなど、より手軽な方法での動物とのふれあいを生活のなかに取り入れるのもおすすめです。

ペットを飼うことによる作用

  • 心によい
    動物は裏切りません。与えた愛情にはちゃんと返してくれるので、動物との間に信頼関係を築くことができます。動物を飼うことで「安心感」「やさしい気持ち」「必要とされている気持ち」「責任感」などを持てるようになり、ストレスや孤独感などが解消される効果が期待できます。
  • 人間関係にプラス
    犬を散歩させていると、愛犬家同士の話が弾んだり、知らない人とも気軽に挨拶しやすくなります。また、飼っているペットについて話すことで、夫婦や親子での会話が増えたりすることも。人間関係の潤滑油にもなります。
  • 体にもよい
    かわいがっている動物が身近にいることで、さまざまな世話が必要になりますが、それによって運動量が増え、メタボ対策にもなります。実際に、動物を飼っている人は、飼っていない人よりも血圧や中性脂肪などの数値がより健康的という海外のデータがあります。

山本 晴義 先生

監修者 山本 晴義 先生 (医学博士 横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長
神奈川産業保健総合支援センター相談員 埼玉学園大学大学院客員教授)
1972年東北大学医学部卒業、1991年横浜労災病院心療内科部長、2001年より横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長。日本心療内科学会監事・専門医、日本産業ストレス学会理事、日本産業精神保健学会評議員、日本心身医学会評議員、日本職業災害医学会評議員。厚生労働省ポータルサイト「こころの耳」委員。著書は『ストレス一日決算主義』(NHK出版)、『初任者・職場管理者のためのメンタルヘルス対策の本』(労務行政)、『ビジネスマンの心の病気がわかる本』(講談社)、『ストレス教室』『働く人のメンタルヘルス教室』『メンタルサポート教室』(新興医学出版社)、『ドクター山本のメール相談事例集』(労働調査会)、『図解 やさしくわかる うつ病からの職場復帰』(ナツメ社)など多数。また、DVD『Dr.山本晴義の実戦!心療内科』(全2巻、ケアネット)、『元気な職場をつくるメンタルヘルス』(全12巻、アスパクリエイト)、CD『予防のための音楽「うつ」』(デラ)なども監修している。