ストレスは、心と体に影響を及ぼす
現代は、ストレス社会でストレスから逃れることはできません。ストレスが高じると心と体に影響を及ぼします。ストレスはためないことが一番ですが、どうしようもないときは、身近な人に相談するなど、抱え込まないようにすることが大切です。
ストレスの原因となることが多いのは「人間関係」
厚生労働省の調査によると、男女や世代の違いを超えて働く人の多くが、ストレスの原因だと感じているのが「人間関係」……。人間関係は希薄すぎても、濃密すぎてもストレスの原因になりがちです。メンタルヘルスのためには、ほどほどにがんばったり、ほどほどに手を抜く、など「いい加減(ちょうどよい加減)」がキーワードになることが多いのですが、仕事では、その「よい加減」の関係を保ちにくい分、ストレスの原因となってしまうことが少なくありません。「ちょうどよい人間関係」は永遠のテーマ、ともいえるでしょう。
しかし、人と人とのつながりを極力減らして、ストレスを軽くしようとするよりも、周囲からサポートしてもらえるような人間関係を築くほうが、結果的にはストレスを減らすことにつながるのではないでしょうか。人間関係についていえば、あらかじめ「人間関係にストレスはつきものだ」と考えて、人と人とのつながりの上での「よい加減」を目指してほしいものです。
どうしようもないときは、一人で抱え込まないで
内閣府の調査によると、2012年の自殺者の数は25,858人。1998年以降、3万人を超えていたのが、15年ぶりに3万人を下回ったことになります。とはいえ、依然として3万人に近い数であることに変わりありません。自殺が起こる背景には、うつ病などの心の病気が隠れていることが多いと考えられています。
ストレスが極度に高まったり、長期間ストレスにさらされることは、うつ状態に陥る大きな原因の1つです。うつ病にかかってしまうと、心と体に異変が現れます。また、うつ病になると、普段は考えられないような思考に陥ってしまうことがあるのです。
たとえば、「身近な人から嫌がらせをされていて、これ以上、耐えられない。死んだほうがましだ」といったような気持ちに陥ることは、程度の差こそあれ、多くの人が経験しているのではないでしょうか。しかし、たいていの場合、ストレスを解消しながら、実行には至らないものです。しかし、うつ病になると、視野が狭くなり「嫌がらせをされるのは自分が悪いからだ→こんな自分は生きていてもしかたない→死んだほうがましだ」と自分を責めて、実際に自殺してしまうこともあるのです。
こうなる前に「身近な人から嫌がらせをされていて、これ以上、耐えられない。(今は)死んだほうがましだ」と、「今は」という言葉をつけて考えてみましょう。「死んだほうがまし」な状況はあくまでも今のことであって、半年後、1年後にはどうなっているかわかりません。このように、少し「よい加減」な距離を持って視野を広げれば、気持ちにもゆとりが持てるのではないでしょうか?
ただし、気持ちの工夫だけでは解決できず、心や体に「異変」が起こってしまうこともあります。そんなときは、一人で抱え込まず、周囲の人や相談窓口、医療機関などに相談しましょう。また、心と体の異変に気づいた周囲の人も、専門の相談機関や病院へ行くように、背中を押してあげてください。
ストレスが及ぼす心、体、行動への影響
- 体への影響
肩こり/目の疲れ/疲労/肌荒れ/脱毛/頭痛/腰痛/不眠/自律神経の乱れ など - 心への影響
不安/落ち込み/イライラ/怒り/気力や集中力の低下/希望のなさ など - 行動への影響
生活の乱れ/暴飲暴食/散財/過度の飲酒/喫煙/ギャンブル/暴言暴力/遅刻/欠勤 など
これらが長引くと……
- 体の病気
自律神経失調症/胃や腸など消化器の病気/血圧や心臓など循環器の病気/免疫力が低下して感染症にかかりやすくなったり、免疫の働きが過敏になってアレ ルギー症状が重くなったりする/生活習慣病 など - 心の病気
不安障害/アルコール依存症/パニック障害/PTSD(心的外傷後ストレス障害)/うつ病 など
うつ病の主な症状
- 体の症状
眠れない/食欲がない/疲れやすい・だるい/頭痛/動悸/胃の不快感/性欲がない など - 心の症状
ゆううつ感/不安・イライラ感/何にも興味がわかない/集中力がない/決断が下せない/悪いことをしたように感じて自分を責める/自分を無価値だと思う など