ストレスに気づいて、セルフコントロールす
ストレスは誰にでもあって、逃れられないもの……。ただし、ストレスを受けても、いきなり心や体にトラブルが起こってくるわけではありません。ストレスに気づいて、上手にコントロールすることで、トラブルを未然に回避することができるのです。
ストレスを受けても、元気でいられる人もいる
強いストレスが長引くと、心や体にさまざまな影響を及ぼします。しかし、同じストレス状況下にあっても、心身にトラブルが起こる人と元気に過ごせる人がいます。それは、トラブルに至る過程が人によってさまざまで、ストレスをためやすい人とそうでない人がいるからです。
下に、ストレスをためやすい個人的な要因の主なものを挙げました。こうした要因があることを知って、ためやすい人はとくに気をつけたいもの。とくに、競争心が強く攻撃的でエネルギッシュな人(いわゆるのタイプA行動パターンの人)などは、ストレスをためにくいと思われがちですが、常に仕事を多く抱え込み、攻撃的な面が災いして人間関係のトラブルを招くことも多いでしょう。そのため、まさにストレスの渦中にあるといえます。このタイプは心のトラブルだけでなく、虚血性の心臓病が多いともいわれているので、要注意です。
反対に、ストレスを受けても元気でいられる人もいます。なぜかというと、ストレスを弱めたり、強くしたりする要因がたくさんあり、こうした人はストレスを弱める要因を上手に使って、ストレスをコントロールしていると考えられます。上手にストレスをコントロールすることによって、トラブルに至る前に食い止める方法がいくつもあるといえるのです。
ストレスをためやすい個人的な要因
- 年齢:若くて経験が少ない人、加齢によってストレスに耐える力が弱まった人
- 性格:取り越し苦労が多い人、几帳面でまじめすぎる人、頑固で厳格すぎる人、ノーといえない人、競争心が強く攻撃的でエネルギッシュな人
- 生活スタイル:睡眠、休養、運動、労働、休息のバランスが極端に崩れている人
- ものの見方・捉え方:マイナス思考など考え方の歪み など
変えられるものに目を向けて、ストレスをコントロールしよう
前回もストレスについて、トラブルに至る過程を解説しました。自分のストレス状態に早めに気づき、その状態を知ってセルフコントロールをすることが大切だからです。そうすることで、トラブルに至る前にくいとめることができます。
ここで肝心なのは、「他人と過去は変えられない」という考え方です。私たちの悩みの多くは、「学生時代、もっと勉強しておけば……」「あの会社に入っていたら」「あの人の○○が気に食わない」など、過去と他人に関することが多いものです。しかし、変えられないものに固執していては、それこそストレスの原因になります。変えやすいものに積極的に目を向けて、ストレスを軽くする方法を考えてみましょう。
仕事上のストレスを例にすれば、ストレスの原因となっていることそのものを変えようとするよりも、「周囲からのサポート」の力に注目してはいかがでしょうか。家族や職場の上司・同僚からのサポートを増やして、ストレスを軽くするというものです。サポートには、仕事を手伝ってもらったり、アドバイスをもらったり、人間関係を調整してもらうといった機能的なサポートと、話を聞いてもらったり、励ましてもらうといった情緒的なサポートの2種類があります。実際のサポートはもちろんですが、自分に支えてくれる人がいるという安心感だけでも十分なサポートとなります(「周囲からのサポート」はストレスコントロールのための方法の1つです。複数の方法をもっておくとよいでしょう)。
そのためにも、日頃から周りの人との人間関係を大切にして、きちんとコミュニケーションをとっておくようにしたいものです。