女性に多いメンタルトラブル……傾向を知って対策を
統計的に、うつ病などメンタルトラブルに陥ってしまうのは、女性が多いことが知られています。仕事に家事、子育てに……多様化するライフステージのなかで、女性はがんばりすぎているのではないでしょうか。
ライフステージの変化によってトラブルが起こりやすい
男女を問わず、環境が変わったときは、さまざまなストレスにさらされがちですが、女性は、こうした人生の変化に加え「女性ホルモン」の影響で、よりメンタルのトラブルに陥りやすいといわれています。
月経前にイライラしたり、だるくなったり、妙に眠くなるといった人も多いようです。自分ではなかなかコントロールしにくいことだけにつらいことでしょう。就職、結婚、子どもの巣立ちなどのライフステージの変化に加え、妊娠や出産、閉経前後など女性ホルモンにかかわる変化があるときにトラブルが発生することが少なくありません。
また、女性は男性より心を穏やかにするホルモン「セロトニン」の量が少ないといわれています。そうしたことからも、女性はうつ病になりやすいと考えられ、実際に男性よりも患者数が多いのです。女性特有のうつ病(*)として、産後うつ病や更年期うつ病が挙げられます。
環境や体調が変化する時期は、気づかないうちにストレスを受けているのだと心得て、まずは無理をしないこと。そして、遠慮しないで周囲のサポートを受けましょう。
まだまだ日本では老若男女を問わず、家事は女性の担当と考えている人が多いのですが、外で働いて、家事も全部自分でやらなければ、と自分を追い詰めないでください。どんなにがんばっても、一人でできることには限りがあります。まずは、身近な「夫」にサポートしてもらって、抱え込まないことが大切です。また、うつ病が疑われるときは、早めに医師に相談しましょう。
女性特有のうつ病
気分の落ち込みが2週間以上続くときはうつ病が疑われます。早めに医師に相談し、適切な治療を開始することが大切です。
産後うつ病: 出産後数週間から、数カ月で起こるうつ病。出産直後の一時的なうつ状態(マタニティ・ブルー)から以降することもある。2週間以上うつ状態が続くときは要注意。とくに初産のときは周囲も気を付けてあげることが大切。
更年期うつ病: 閉経期前後に、気分の落ち込み、不眠、イライラなどが現れる。更年期障害との判別が難しく、更年期だからしかたがないと放置したり、更年期のせいと見過ごされてしまうことも多いが、抗うつ薬やホルモン補充療法など、適切な治療で改善が期待できる。つらいときは、医師に相談を。
理想と現実の隔たりをやわらかく受け止めよう
がんばりやさんの女性は、「こうなりたい」という明確なビジョンをもって、それに向かってがんばっている人が多いようです。確かになりたい自分がはっきりしていると、もうちょっとがんばろう!という気持ちになれるもの。しかし 、生きていると思い通りにならないことがたくさん起こります。むしろ、自分よりも家族のことを優先して、思い通りにならないことのほうが多いかもしれません。年齢を重ねれば重ねるだけ、自分だけの都合で行動することが難しくなるともいえます。
思い通りにならないことばかりでは、気持ちも落ち込んでしまうもの。そんなとき、どうにもならない根本原因を直視してなんとかしようとするのではなく、自分の理想は、いったん「棚上げ」にして、こだわりすぎないのがおすすめです。
そして、思い通りにならないことに対して「今は」をプラスして考えてみではいかがでしょうか。「今は、思い通りにならない」……物事で変わらないものはありません。「今は」と、限定して考えれば、心のゆとりが少しでも生まれてくるのではないでしょうか。
そして、今できることから対処していきましょう。そのなかで、ふさわしいタイミングや新しい人とのつながりで、どうにもならない問題も解決してしまうかもしれません。