いつもと違う……に気づこう
心のかぜともいわれる「うつ病」は、だれでもかかる恐れのある病気ですが、本人が気づきにくいというのも特徴のひとつ。いつもと違う状態に周囲の人が先に気づくことも少なくありません。
心のかぜは自分では気づかないことも多い
近年、うつ病自体の認知度は高まっていて、実際に自分でうつ病を疑って受診する人は依然より多くなっています。そのいっぽう、うつ病にかかっても本人は気づきにくいというのもこの病気の特徴です。というのも、症状の現れ方として全身倦怠感(けんたいかん)や頭重感(ずちょうかん)、食欲不振などの症状が先に出てくることが多く、本人はからだの症状を強く自覚して、心の病気と考えにくいためです。
また、うつ病の人は「自分は精神的におかしくなっていない」といって、うつ病にかかっていることを認めない傾向が強くあります。「がんばればなんとかなる」とつらくても、一層自分に鞭打って頑張ろうとする人も少なくありません。
しかし、うつ病は広く効果が認められた治療法がありますし、早期に発見して適切な治療を行えば、必ず回復する病気です。うつ病かもしれない……というときは、我慢しないで、早めに治療を受けてほしいものです。
いつもと違う……そんなときには周囲もフォローを
うつ病では、さまざまなからだの症状(下記参照)に加え、憂うつ、元気が出ない、不安などがある、無気力、おっくうになるなど心の症状も現れます。集中力や決断力などの低下、楽しいことがないなども基本的な症状です。こうした憂うつな気分があれば、うつ病を疑ったほうがよいでしょう。
このほか「好きだった趣味にまったく興味を示さなくなった」「毎朝読んでいた新聞を読まなくなった」「他人と会うのを避けるようになった」など、行動にも変化が現れるようになります。こうした行動の変化は、本人よりむしろ周囲の人が気づきやすいものです。
そして、いつもと違うことに気づいたら、周囲の人がフォローをしてあげてほしいもの。「どうしたの?」「なにかあったの?」と声をかけて、まずは話を聞いてあげましょう。そのうえで、産業医や専門医などへの相談につなげていければよいでしょう。
うつ病は、だれでもかかる病気であるだけに、日頃からお互いにコミュニケーションをとり、フォローし合うことが大切。そうした環境をつくっていくことが、心の不調の予防にも心の病気を早期発見してこじらせないためにも重要なカギとなります。
うつ病で現れることが多いからだの症状
- 頭重、頭痛、不眠
- めまい
- 口渇、味覚異常
- 首や肩のこり
- 胸部圧迫感
- 心悸亢進(しんきこうしん)
- 食欲不振、体重減少、腹部膨満感(ぼうまんかん)、腹痛
- 下痢、便秘
- 性欲低下、月経不順
- 手足の痛み、しびれ、知覚異常 など