心のトラブルに効く薬について知っておこう
眠れない、気分が落ち込んで何をする気にもなれないといったときなど、心のトラブルには、効果的で比較的副作用の少ない薬が用いられるようになっています。その一方、心のトラブルは薬だけでは対応しきれないことも少なくありません。
心のトラブルの薬は、怖がらない・頼りすぎないように
現代はストレス社会であり、不眠やうつ症状など、心のトラブルは、だれしも見舞われるおそれのある状態です。心のトラブルでつらいときは、抱えこまず、ときには専門家に相談するのが解決の早道。つらさを我慢しているより、医療の手を借りたほうがこじらせずにすむことが少なくありません。
不眠やうつ症状には、近年、副作用が比較的少なく、効果的な薬が複数登場しています。たとえば、うつ症状は心の元気がなくなってエネルギーが枯渇している状態といえます。うつ病は、脳の神経細胞間で気分や食欲などの情報を伝達する物質(神経伝達物質)が減ってしまうことが原因で起こるのではないかと考えられ、神経伝達物質を増やす働きをする薬が用いられるようになっています。そのため、うつ病になってしまった場合の治療としては、まず、休養を取りながら、薬を用いることが一般的です。薬をのみたくないから、と受診を避けてつらさを我慢するのはおすすめできません。
症状が軽い場合は、仕事を続けながら薬での治療を並行することも可能ですが、可能な限り、心の元気が戻ってくるまで、しっかりと休むことが重要です。
さらに、心の元気がある程度回復したら、必要に応じて心理療法なども並行して行い、うつ病になりやすい「考え方のクセ」や「生活習慣」などを改めていくことも大切になります。
薬は効果が現れるまでに一定の期間がかかる
ただし、はじめてのんだうつ病の薬が効く人は、7割程度といわれています。また、薬をのんでも効果が現れるまでに2~3週間かかるといわれています。医師は、患者さんの話を聞きながら薬の種類・量を調整していくことになるので、あせらず、医師の指示に従って薬をのみ、経過をきちんと医師に伝えることが大切。一般的には、うつ病はよくなるのに半年~1年かかるといわれています。症状がよくなっても、再発防止のため、自己判断で薬をやめないようにし、やめるときも1カ月くらいかけて少しずつ薬を減らしていきます。
薬をのむ前に、また、薬をのんだとしても大切なのは、当たり前のことのですが、健康的な生活習慣を送るように心がけることです。ストレスを感じてつらい人や、心のトラブルを抱えてしまった人も、それをきっかけにして、生活習慣を見直してみるとよいでしょう。
つまり、毎日の生活のなかに、「運動、労働(勉強)、睡眠、休養、食事」の5つの要素をバランスよく取り入れること。また、月曜日から金曜日までめいっぱい働いて週末に休む、という週単位のリズムを「1日単位」のリズムに切り替えることをおすすめめします。ストレスを翌日に持ちこさないようにして、夜、寝るときに「今日はいい1日だった」と思えるような生活を365日、過ごすことができたら、まさにストレスがたまらない生き方をしているといえるでしょう。
うつ病になりやすい性格を知って、うつ病を予防しよう
うつ病になりやすい性格として、主に次の2つが知られています。社会的には、「よい人」と捉えられることの多い性格といえますが、それが極端になると、うつになりやすいと考えられます。自分に「あてはまる」ところがある人はとくに、無理せず、ストレスをためない生活を心がけてください。
1.メランコリー親和性性格
秩序やルールを重んじ、几帳面、律儀、きまじめ、融通が利かない、他人に配慮する
⇒ 環境の変化や予想外の出来事への対応が苦手なため、ストレスをため込みがちに
2.執着性性格
まじめ、良心的、几帳面、仕事熱心、責任感が強い、手抜きやごまかしができず、コツコツと徹底して仕事に取り組む、周囲の信頼も厚く、大きな仕事をまかされやすい
⇒ 仕事を抱え込みやすく、すべてに全力投球するため、優先順位が付けられず、身動きがとれなくなり、疲れ果ててしまう