心の不調は誰にでも起こる。「自分だけは大丈夫」は危険
心の不調を抱える人が増えていることは知られていますが、「自分だけは大丈夫」「心の不調になるのは、もともと心が弱い人」と誤解している人が少なくありません。心の健康に自信がある人も、注意が必要です。
「心の病になりやすい性格」でなくても、誰でもかかる可能性がある
心の病にかかるのは、「心の弱い人」であると思い込んでいませんか。
確かに、うつ病をはじめとする精神疾患の発症については、ストレスを受けやすい、傷つきやすい素質や性格をもった人が、なんらかの強いストレスを受けることで発症しやすくなるという指摘があります。
とはいえ、そういう素質や性格をもっている人が全員、心の病を発症するわけではありません(「ストレスに気づいて、セルフコントロール」参照)。
また逆に、そうした素質や性格をもっていない人が、急激に環境が変わるなどの強いストレスを受けたり、小さなストレスを慢性的に受け続けて、心に不調をきたすこともあります。
うつ病が「心のかぜ」とよく言われるのは、そのように、どんな人でもかかる病気だからなのです。
心の病は慢性化しやすく、深刻な影響が出やすい
しかし、「心のかぜ」だからといって、放っておいてもすぐによくなる軽い病気であると考えるのは間違いです。
「なんとなくだるい」「疲れがとれない」といった初期の段階で気づけば、セルフコントロールだけで改善できる場合もありますが、放っておくと慢性化したり、全身の症状として現れてきたりして、医療機関での治療が必要となります。適切な治療を行えば治る(よくなる)病気ですが、治るまでには数カ月から数年という長い期間がかかり、一度治っても再発する可能性もあります。
心の病も、ほかの病気と同じように早期発見・早期治療が大切なのです。
心の病を防ぐには、日々のセルフコントロールが重要
どんな人にも、多かれ少なかれストレスはあります。「心が強い人」、ストレスに負けない人というのは、日々上手にセルフコントロールができている人といえるでしょう。
心の健康に自信がある人も、次のようなストレス対策を行っているかを確認し、また、ストレス症状が現れていないかを日常的にチェックして、心の病を予防しましょう。
ストレスに強くなる方法
- 自分に合ったストレス解消法を複数もつ
(「『ストレス一日決算主義』のすすめ」参照) - 生活リズムを整える
(「心のために生活リズムを整えよう」参照) - ストレスを溜めにくい考え方や行動をする
(「ストレスと上手につき合う三原則」 、「ときには、断り上手になろう」参照) - 自己評価を高くする
(「今年の目標は『脱! ストレス思考』」、「自分をほめて、ストレスにつぶされない」参照) - 相談できるサポーターをもつ
(「心のサポーターをもとう」参照)