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筋弛緩法で体をゆるめて、心もリラックス

筋弛緩法で体をゆるめて、心もリラックス

心をリラックスさせたいときは、まずはリラクセーション法で体をゆるめましょう。体の緊張がほぐれ、自然と心もリラックスできます。ここでは、手軽にできて効果の高い「筋弛緩法(きんしかんほう)」を紹介します。

ストレスで固くなった体をゆるめよう

ふだん私たちの体には常に力が入っており、そこに不安やイライラなどが加わると、ますます体は緊張して固くなります。とくに、寒くなってくると、つい体が縮こまってしまいがち。
そんな状態で「リラックスしよう」「落ち着こう」と心に言い聞かせても、リラックスどころか逆効果になってしまうことがあります。そこで、まずは体をリラックスさせて、心のリラックスにつなげましょう。
ストレッチや体操(「体をほぐして心ほぐし 手軽にできるストレッチング&体操」参照)でもよいのですが、より手軽に短時間でできるリラクセーション法として、「筋弛緩法」があります。

体に力を入れて一気に抜くだけ! 「筋弛緩法」

筋弛緩法(漸進性筋弛緩法)は、約100年前にアメリカの精神科医エドモンド・ジェイコブソンが開発した方法です。
体の各部位の筋肉を10秒間緊張させた後、ストンと一気にゆるめることを繰り返して、体の緊張をほぐします。
電車やオフィスなどで、できる部位だけ行うこともできますが、1.~10.の順で全身に対して行うと一層効果的です。

基本動作(どの部位も共通)

10秒間力を入れる→一気に力を抜き、その感覚を20秒間感じる。

部位ごとの力の入れ方

  • 手:両腕を伸ばし、親指を曲げて握りこぶしを作り、10秒間力を入れる。→脱力(20秒間)
  • 上腕:握りこぶしを肩に近づけ、曲がった上腕全体に10秒間力を入れる。→脱力(20秒間)
  • 背中:②と同様に曲げた上腕を外に広げ、10秒間肩甲骨を引きつける。→脱力(20秒間)
  • 肩:両肩を上げて、首をすぼめるように肩に10秒間力を入れる。→脱力(20秒間)
  • 首:右側に首をひねって10秒間力を入れる。→脱力(20秒間)
    左側も同様に。
  • 顔:口をすぼめ、奥歯を噛みしめて顔全体を顔の中心に集めるように10秒間力を入れる。→脱力(20秒間。ゆるめたときは、口がぽかんとした状態になるように)
  • 腹部:おなかに手を当て、その手を押し返すように10秒間力を入れる。→脱力(20秒間)
  • 足の下側:つま先まで足を伸ばし、足の下側の筋肉に10秒間力を入れる。→脱力(20秒間)
  • 足の上側:足を伸ばし、つま先を上に曲げて、足の上側の筋肉に10秒間力を入れる。→脱力(20秒間)
  • 全身:①~⑨を一度に10秒間緊張させ、力をゆっくりと抜いて、その感覚を20秒間感じる。

なお、力を入れているときも抜いたときも、その部位の感覚をじっくり味わうことが大切です。とくに、力を抜いたときの、じんわりとゆるんでポカポカとあたたかくなる感じを味わいましょう。

山本 晴義 先生

監修者 山本 晴義 先生 1972年東北大学医学部卒業、1991年横浜労災病院心療内科部長、2001年より横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長。日本心療内科学会監事・専門医、日本産業ストレス学会理事、日本産業精神保健学会評議員、日本心身医学会評議員、日本職業災害医学会評議員。厚生労働省ポータルサイト「こころの耳」委員。著書は『ストレス一日決算主義』(NHK出版)、『初任者・職場管理者のためのメンタルヘルス対策の本』(労務行政)、『ビジネスマンの心の病気がわかる本』(講談社)、『ストレス教室』『働く人のメンタルヘルス教室』『メンタルサポート教室』(新興医学出版社)、『ドクター山本のメール相談事例集』(労働調査会)、『図解 やさしくわかる うつ病からの職場復帰』(ナツメ社)など多数。また、DVD『Dr.山本晴義の実戦!心療内科』(全2巻、ケアネット)、『元気な職場をつくるメンタルヘルス』(全12巻、アスパクリエイト)、CD『予防のための音楽「うつ」』(デラ)なども監修している。