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「心の専門家に相談したいのですが、何科に行けばいいのでしょうか?」

「心の専門家に相談したいのですが、何科に行けばいいのでしょうか?」

Q.30代男性です。不安や落ち込みから立ち直れず、寝つきが悪かったり頭痛がしたりと、体の不調も感じます。心の専門家に相談するには、何科に行けばいいのでしょうか。

A.医療機関を受診するなら、「精神科」や「心療内科」になります。頭痛についてみてもらいたい場合は、「神経内科」を受診することをおすすめします。カウンセラーに話をきいてもらいたい場合も、まずは医師の診察を受けてからにしたほうがよいでしょう。

心の不調が気になるなら、「精神科」「心療内科」へ

「◯◯メンタルクリニック」といった看板を見かけますが、ほとんどが精神科医や心療内科医が診察していますので、安心して受診してください。

ところで、「精神科」と「心療内科」はどこが違うのでしょうか?「心療内科」は、「心理療法も行う内科」で、心身症(胃・十二指腸潰瘍、本態性高血圧、気管支ぜんそく、肥満症、アトピー性皮膚炎、摂食障害などストレスが関係した身体の病気)が治療の主な対象となり、本来は内科医なのですが、精神科へ受診しやすいように「心療内科」と標榜していることが多いのが現状です。また、「神経内科」は心の病気ではなく体の神経にかかわる病気(脳卒中や認知症、てんかんといった、脳・脊髄・末梢神経の異常など)が治療対象なので、間違えないようにしましょう。

精神科や心療内科では、まず問診で「思い当たる原因」「いつ発症したか」「これまでの経過(症状や治療)」「人間関係(家族や職場など)」といった内容を尋ねられます。うまく伝えられるか心配なときは、事前に文章化して持参するのもよいでしょう。問診のほか、血液検査や心電図などで他の原因がないかどうかを調べる場合もあります。

体の症状が続くときは、その専門科の受診も検討する

ストレス状態が続くと、心身にさまざまな症状が現れます(「ストレスは、心と体に影響を及ぼす」参照)。しかし、なんらかの体の病気が隠れているおそれもあるので、ストレスが原因であると決めつけないようにしましょう。体の症状が長く続くときは、頭痛なら脳神経外科や神経内科、胃腸の調子が悪いなら消化器科など、それぞれの専門科を受診することを検討してください。

カウンセリングや電話相談の利用もおすすめ

体の病気が原因でないことがわかったら、臨床心理士が相談にのってくれるカウンセリングルームなどを利用するのもよいでしょう。さまざまな電話相談窓口もあります(「こころの耳」の相談先紹介ページ 参照)。

それらのサポートを受けると同時に、当コーナーでこれまで紹介してきたようなストレス対策で、セルフコントロールに取り組んでみることも大切です。

山本 晴義 先生

監修者 山本 晴義 先生 (医学博士 横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長
神奈川産業保健総合支援センター相談員 埼玉学園大学大学院客員教授)
1972年東北大学医学部卒業、1991年横浜労災病院心療内科部長、2001年より横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長。日本心療内科学会監事・専門医、日本産業ストレス学会理事、日本産業精神保健学会評議員、日本心身医学会評議員、日本職業災害医学会評議員。厚生労働省ポータルサイト「こころの耳」委員。著書は『ストレス一日決算主義』(NHK出版)、『初任者・職場管理者のためのメンタルヘルス対策の本』(労務行政)、『ビジネスマンの心の病気がわかる本』(講談社)、『ストレス教室』『働く人のメンタルヘルス教室』『メンタルサポート教室』(新興医学出版社)、『ドクター山本のメール相談事例集』(労働調査会)、『図解 やさしくわかる うつ病からの職場復帰』(ナツメ社)など多数。また、DVD『Dr.山本晴義の実戦!心療内科』(全2巻、ケアネット)、『元気な職場をつくるメンタルヘルス』(全12巻、アスパクリエイト)、CD『予防のための音楽「うつ」』(デラ)なども監修している。