「海外での単身赴任が決まり、かなり不安です…」
Q.30代男性です。来月から海外転勤となり、妻子を日本に残して単身赴任することになりました。海外渡航経験が少なく、転勤も初めてなのでいろいろな面で不安です。
A.海外での生活や仕事は日本とは異なることが多く、ストレスが生じるものです。ストレス対策を知っておき、メンタルヘルスの不調を予防するようにしましょう。
海外赴任時にはさまざまなストレスがあり、メンタルに不調を抱えやすい
住み慣れた日本を離れ、家族からも離れての生活に不安を感じているのですね。転勤自体初めてとなれば、心配の種は尽きないでしょう。
実際に、海外赴任者の多くがストレスを抱えています。それには、生活習慣や言語、気候、衛生観念など日常生活面はもちろん、ビジネス習慣や仕事のやり方などにおいても海外と日本では違いが大きいこと。そして、家族や友人など話を聞いてくれる相手がいないために、ストレスが蓄積しやすいということがあります(家族と一緒に赴任した場合は、逆に、家族の世話や、家族の心身の不調への対応もストレス要因となります)。そのような状況下で仕事上の困難などが加わると、うつ病などのリスクが高まります。
気持ちの余裕を持ち、変えられるものに目を向けて、柔軟な対応を
特に、真面目で完璧主義の人や、いつも問題から逃げようとしてしまう人、八つ当たりでストレスを発散しがちな人、物事を悲観的に捉えがちな人は、ストレスを溜め込みやすかったり、上手に発散できないことが多いので、要注意です。
海外では、予想できないトラブルや、思い通りにならないことがたくさん起こります。日本と同じレベルや完璧さを求めるのは難しいでしょう。そのたびに苛立ちをつのらせたり、「もうダメだ」と悲観的になったり、先々の不安を先取りしていては、疲れてしまいます。「どうにかなるさ」くらいの気持ちの余裕を持って、柔軟に対応するとよいでしょう。
積極的に問題に立ち向かって解決してうまくいく場合もありますが、時間を置いて様子を見たほうがよい場合もあります。また、赴任先の環境ややり方、相手の考えなどは、自分では変えられないものです。変えられそうな部分…例えば、自分のやり方や考え方などに、譲れるところがないか目を向けてみましょう。
海外赴任をきっかけに、少し柔軟になれた自分を手に入れたとしたら、その先のあなたや家族にとっても大きな財産となるでしょう。自分を変える1つのチャンスになるかもしれません。
家族や友人とのメールやSNSでストレス解消を。仕事以外の居場所も持つ
また、周囲の人の支えは、心の拠り所となります。職場の人や関係者など、現地にいる日本人と適度な距離を保ちながら良好な関係を築いたり、日本にいる家族や友人とのつながりを常に持っておくようにしましょう。メールやSNSなら、お互いに近況報告をしあったり、愚痴を聞きあったり、時差を気にせず気軽にやりとりできます。
単身赴任の人や独身の人は特に、職場以外に自分の居場所を作ることも大切です。サークル活動に参加する、仕事以外での人との交流を持つなど、仕事以外に打ち込めるものがあれば、仕事で行き詰まったときや、職場の人間関係に悩んだときなどにも気分転換できます。それが難しいようでも、自分なりのストレス解消法(「『ストレス1日決算主義』のすすめ」や、サイト内関連記事参照)に取り組みましょう。「こころの耳メール相談」などを利用するのもよいでしょう。
それらを心がけても、万が一不眠や体調不良などを感じたら、早めに現地の医療機関を受診することが重要です。日本の本社に相談し、休暇や一時帰国を含めて対応の指示を仰ぎ、一人で抱え込まないようにしましょう。