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「恋人といつも長続きせず、3年以内に結婚したいのに焦るばかりです」

「恋人といつも長続きせず、3年以内に結婚したいのに焦るばかりです」

Q.30代女性です。お付き合いする男性といつも長続きしません。3年以内に結婚したいと考えていますが、結婚を切り出した途端に相手の気持ちが離れてしまったりして、焦るばかりです。どうしたらいいでしょうか?

A.自分だけの都合では進まないものです。理想像にこだわりすぎず、目先を変えてみましょう。見失っていたものを見出したり、新たな可能性に出会えるかもしれません。

理想を持ち、目標を立てて努力するのは大切だが、とらわれるすぎるのは……

恋愛がうまくいかないこと、ご自分の理想に近づけないことにお悩みのようですね。相談者さんのように「◯歳までに結婚したい」といった具体的な目標を立て、結婚して子どもも持ち、仕事もがんばり続けようと努力している女性は多いようです。

人生の中心が仕事になってしまいがちな男性に比べて、さまざまなことに目を向け、生活をできるだけ楽しんだり、「5年後10年後のなりたい自分」を目指してがんばったりしている女性の姿には、パワーと輝きを感じます。

確かに、「なりたい自分」がはっきりしていると毎日の励みになりますし、疲れていてももうちょっとがんばろうという気力が湧くものです。ただ、こうした理想にとらわれすぎてしまい、思い通りに進まないことに悩んだり、焦ったりしてしまうのは問題でしょう。

もともと違う価値観を持つ者同士。期待して裏切られないよう、違いの受容を

思い通りに進まないことは、人生の中でたくさん起こります。かえって、思い通りに進むことのほうが少ないかもしれません。恋愛、結婚となるとなおさらでしょう。

しかし、恋愛関係にある相手に対しては、「自分と同じ思いでいるはず」「愛してくれているなら将来を考えてくれるはず」と期待してしまいがちです。それゆえに、違う考えであることがわかると裏切られた感覚に陥り、ショックを受けてしまうもの。

人は誰でも、親しい相手や条件の似た相手に対し「自分と同じ考えを持っているはず」と思い込んでしまう傾向があります。しかし、男女の違い以前に、違う環境で育ち、違う人生を歩んできた他人同士です。「もともと違う価値観を持っているのだ」というスタンスで、価値観の違いを受容し、肩の力を少し抜きましょう。

価値観や理想を一度置き、視野を広げて新たな可能性を探ろう

相手だけでなく、相手や自分の家族、親戚、職場の人など、いろんな人との関係性がある中で、自分の都合や夢を優先させて、思い描いた将来に近づこうとするのは難しいものです。しかし、その一方で、自分だけでは開けなかった世界が、自分以外の誰かによってもたらされることもあるでしょう。

理想を持つことは大切ですが、こだわりすぎると見失ってしまうものもあります。人生に変化はつきものですから、変化に合わせて、これまで持っていた価値観や理想を一度、傍らへ置く勇気を持ちませんか。視野が広がり、さまざまな出会いやタイミングの中で、新たな可能性を探せるかもしれません。

山本 晴義 先生

監修者 山本 晴義 先生 (医学博士 横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長
神奈川産業保健総合支援センター相談員 埼玉学園大学大学院客員教授)
1972年東北大学医学部卒業、1991年横浜労災病院心療内科部長、2001年より横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長。日本心療内科学会監事・専門医、日本産業ストレス学会理事、日本産業精神保健学会評議員、日本心身医学会評議員、日本職業災害医学会評議員。厚生労働省ポータルサイト「こころの耳」委員。著書は『ストレス一日決算主義』(NHK出版)、『初任者・職場管理者のためのメンタルヘルス対策の本』(労務行政)、『ビジネスマンの心の病気がわかる本』(講談社)、『ストレス教室』『働く人のメンタルヘルス教室』『メンタルサポート教室』(新興医学出版社)、『ドクター山本のメール相談事例集』(労働調査会)、『図解 やさしくわかる うつ病からの職場復帰』(ナツメ社)など多数。また、DVD『Dr.山本晴義の実戦!心療内科』(全2巻、ケアネット)、『元気な職場をつくるメンタルヘルス』(全12巻、アスパクリエイト)、CD『予防のための音楽「うつ」』(デラ)なども監修している。