「子どもが遅刻がちで学校の話をあまりしなくなりました。うつ病でしょうか?」
Q.40代男性です。小学4年生の息子が、最近学校に遅刻しがちで、腹痛を訴えて休みたがることもあります。最近は学校や友人の話もあまりしなくなったのですが、うつ病なのでしょうか?
A.お子さんの発しているSOSサインかもしれません。大人よりも早めのフォローが大切なので、早めに落ち着いて話を聴き、必要に応じて専門家や相談窓口などに相談しましょう。
児童期・幼児期の子どもの場合は、サインを見逃さないことが大切
お子さんの変化に気づいて、「うつ病かも?」と心配になったのですね。
うつ病は、12歳以上に起こりやすい病気ですが、幼児期・児童期であっても起こることがあります。幼児期・児童期の子どもでは、つらい気持ちを言葉にして自分で訴えることができません。
相談者さんが気づいたような、「なにか様子が違う」「前はこんなことはなかった」と感じる変化は、お子さんが発しているSOSサインかもしれません。ふだんからコミュニケーションをとり、下記のようなサインに早めに気づくようにしたいものです。
【見逃さないでほしい、子どものSOSサイン】
- 元気がない、表情が暗い
- 睡眠リズムが乱れる(朝起きられない、なんとなく夜更かししがち)
- 学校へ出かけるまでに時間がかかったり、行きたがらない
- 遅刻や欠席が増える
- 頭痛や腹痛など、体調不良を訴える(特に朝)
- 食欲が減る、あるいは過食気味になる
- 集中力がない、成績が下がる
- 口数が減る、学校や友人の話をしなくなる
- イライラしたり、ちょっとしたことで怒ったりする
学校や家庭の問題、生活環境の変化、喪失体験などのストレスが引き金に
小学生の子どもの場合、心に大きな影響を及ぼすのは、学校や家庭内でのストレスです。学業の不安や心配(テストや宿題、人前での発表など)、人間関係の問題(友達や家族など)、生活環境の変化(引っ越しや転校、親の離婚など)、そして生死にかかわる出来事(ペットや家族、友達といった親しい相手の病気や死など)は、どんな子どもにも起こりうるでしょう。
一つひとつのストレスは小さいものであっても、複数重なると大きな負担となり、心の病気の引き金になってしまう場合があるので、周りの家族はよく注意しましょう。
まずは話を聴き、必要に応じ専門家や相談窓口にも相談を
子どもの心身の変化は、成長の過程で起こる一時的なものの可能性もありますが、心の病気であれば大人より早めのフォローが必要です。不登校や引きこもり、悲しいことですが自殺に至ってしまった子どもの一部には、うつ病をはじめとした精神疾患を発症しているケースもあると考えられています。
「そのうちよくなる」と放っておくと、子どもの一生に影響を及ぼすこともあるので、冷静に、早めに対応しましょう。
まずは、子どものいちばんの味方である家族が、じっくりと落ち着いて話を聴くこと。その際には、子どもがどう感じているかを子どもの立場で理解し、その気持ちに共感し、意見や思いを押しつけないことが大切です。そして、子どもの状態によっては、スクールカウンセラーや一般のカウンセラー、自治体の児童相談所、保健所、専門医などに相談しましょう。厚生労働省のメンタルヘルスのサイトの「こころの相談窓口」でも、公的な相談先を探すことができます。