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「うつ病で休職していた同僚が復職。どう接すればいいですか?」

「うつ病で休職していた同僚が復職。どう接すればいいですか?」

Q.30代女性です。うつ病との診断で、約1年休職していた同僚がもうすぐ復職してきます。どのように接すればいいのでしょうか。

A.まずは、「よかったね」「心配していたよ」と温かい声かけを。病気を意識して気を遣いすぎるのもよくありませんが、復職したからといって心も体も100%ではないので、ゆっくり前進していく過程を見守りましょう。

復職者に気を遣いすぎず、温かく受け入れる声掛けを

同僚の復帰が嬉しい反面、接し方に悩んでいる相談者さんのお気持ち、お察しします。心の病気は、どのくらい回復しているのかが体の病気以上にわかりにくいですし、何か誤った対応をして再発を招いてしまっては……といった心配もあるでしょう。

しかし、腫れ物に触るような扱いは、もちろんよくありません。復帰した本人も、休職してみんなに迷惑をかけてしまったという思いや、元のようにちゃんと働けるかどうかといった不安などをたくさん抱えています。自然な態度で接し、「よかったね」「心配していたよ」といった声かけで、温かく受け入れていることを伝えましょう。

業務軽減に配慮が必要だが、周囲に過度の負担がかかるようなら上司などに相談を

職場復帰直後は通常、短時間勤務や業務軽減といった措置を段階的に行うことになります。そのようなフォローアップの期間が終わるまでは、まだ100%元どおり働けるわけではない点に注意が必要です。以前は、急ぎの仕事を同僚に直接頼んでいたり、分担したりしていた場合でも、復帰後の仕事の指示は必ず上司を通すようにしましょう。

とはいえ職場には、そのような措置により、上司や周囲の人に過度の負担がかかることへの配慮も求められます。相談者さん自身が、心身への負担を感じたり、職場環境に問題があると思ったときには、上司などに相談するようにしましょう。

復職者が支障なく働けているか、サポートを

復職後の本人の状態や、症状の再発がないかについては、定期的な通院や、上司・人事労務管理スタッフ・産業保健スタッフ等との面談などにより確認します。しかし、身近な同僚だからこそ気づくことのできる、変化や不調もあるでしょう。

疲労がたまっているようすや眠そうなようすが頻繁に見られる、注意力や集中力に問題がある、作業にひどく時間がかかっている……といった変化に気づいたら、そっと声をかけたり、上司に相談するようにしましょう。

本人から相談を受けた場合は、できればランチタイムや就業後などに職場以外の場所で、ゆっくり話を聴けるとよいですね。その際には、話をさえぎったり自分の話にしてしまわず、「傾聴(けいちょう)する」よう努めましょう(「悩みごとを打ち明けられたら……」参照)。

山本 晴義 先生

監修者 山本 晴義 先生 (医学博士 横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長
神奈川産業保健総合支援センター相談員 埼玉学園大学大学院客員教授)
1972年東北大学医学部卒業、1991年横浜労災病院心療内科部長、2001年より横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長。日本心療内科学会監事・専門医、日本産業ストレス学会理事、日本産業精神保健学会評議員、日本心身医学会評議員、日本職業災害医学会評議員。厚生労働省ポータルサイト「こころの耳」委員。著書は『ストレス一日決算主義』(NHK出版)、『初任者・職場管理者のためのメンタルヘルス対策の本』(労務行政)、『ビジネスマンの心の病気がわかる本』(講談社)、『ストレス教室』『働く人のメンタルヘルス教室』『メンタルサポート教室』(新興医学出版社)、『ドクター山本のメール相談事例集』(労働調査会)、『図解 やさしくわかる うつ病からの職場復帰』(ナツメ社)など多数。また、DVD『Dr.山本晴義の実戦!心療内科』(全2巻、ケアネット)、『元気な職場をつくるメンタルヘルス』(全12巻、アスパクリエイト)、CD『予防のための音楽「うつ」』(デラ)なども監修している。