「スマホを手放さない中学生の娘。依存症でしょうか?」
Q.40代男性です。中学生の娘が、学校にいるとき以外は常にスマホをいじっているような状態です。フィルタリングはかけていますが、SNSやゲームなどに夢中のようで心配です。一種の依存症なのでしょうか。
A.まずは家庭での利用ルールをきちんと守らせることが大切です。ただし、どうしても守れない場合や、自分の意志ではスマホを手放せず、2週間以上日常生活や心身に支障をきたしているような場合は、相談機関への相談や医療機関受診を検討しましょう。
依存症になると、禁断症状によるイライラや不安のほか、身体面にも影響が
相談者さんのような悩みや不安を抱える保護者は多くいます。スマホ(スマートフォン)はコミュニケーションツールとして欠かせないだけでなく、ゲームも読書もなんでもできる道具であり、大人でも手放せない人は多いでしょう。
子どもの場合は特に、自分で節度をもって利用することが難しく、のめり込みやすいものです。日常生活の乱れや成績低下につながったり、視力低下や眼精疲労などの体調不良を引き起こすこともあるほか、SNS上のトラブルで精神的に追い詰められてしまう場合もあります。
さらに、今問題になっているのが、相談者さんが懸念している「スマホ依存症」「ネット依存症」です。スマホやネット(インターネット)にのめり込むあまり、少しでもスマホを見られない状況や、ネットにつながらない環境におかれると、落ち着かず他のことが手に付かない。イライラしたり、不安でたまらなくなる。食事や睡眠、外出、運動など他のことをおろそかにし、身体面や社会生活にも支障をきたす――というような症状が現れます。
依存症の疑いがあれば専門機関に相談や受診を。予防には、ルール作りが大切
前述のような、日常生活や心身に影響が出ている状態が2週間以上続いている場合は、依存症の疑いがあります。心療内科や精神科、メンタルクリニックなどの、心の専門家を受診したり、臨床心理士や精神科医の所属する相談機関を訪ねてみたりしましょう。厚生労働省の「依存症対策」のページに相談機関の一覧が出ているので、調べてみるとよいでしょう。依存症専門の医療機関も増えてきています。
依存症までは至っていないものの、使用する頻度が気になる場合は、次のようなポイントを中心に、子どもときちんと話し合ってみましょう。
①スマホは保護者が購入・契約しており、基本的には保護者が貸し出している連絡ツールであることを説明し、理解を得る。
②家庭内の利用ルール(利用時間や利用場所、SNSを利用するうえでの約束事など)を子どもと一緒に決め、それを守れなかった場合のルールも明確にして、実行させる。
③日常生活のルール(学校にはきちんと行く、与えられた勉強や課題をこなす、食事や睡眠、入浴などをおろそかにしないなど)を再確認し、守らせる
長期休暇中や、自室にこもりがちの子どもには要注意。他の活動に誘うのも手
特に、長期休暇で長時間保護者の目が届かない日が続くときや、子どもが自室にこもりがちというケースでは、依存状態に陥ることがあるので、事前のルール作りが必要です。近年、小・中学校や高等学校では、SNSの安全な使い方やスマホ・ネット依存症などに関する予防啓発教育などが行われています。子どもとルールを作るのが難しい、なかなか守れないという場合は、学校から配布されている資料を参考にするのもよいでしょう。
自治体によっては、独自にルールを作成し予防啓発教育を行っているところもあります。東京都教育委員会では、「児童・生徒が、いじめ等のトラブルや犯罪に巻き込まれないようにするとともに、学習への悪影響を防ぐ」ことを目的に、「SNS東京ルール」を策定しているので、参考にしてみましょう。
また、使用頻度を下げる工夫として、「スマホ・ネット以外の楽しみを増やす」のも手です。家族のレジャーを増やす、習い事や地域の活動などに多く参加させて趣味や特技の幅を広げるなど、子どもに合うやり方を検討してみましょう。