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「睡眠障害や意欲低下が続く40代後半の妻。更年期障害でしょうか?」

「睡眠障害や意欲低下が続く40代後半の妻。更年期障害でしょうか?」

Q.50代男性です。40代後半の妻に、睡眠障害や意欲低下などが続いているようです。うつ病でしょうか? それとも更年期障害でしょうか?

A.更年期はうつになりやすいため、「更年期のせい」で済まさず、改善しないときは専門医に相談を。仕事だけでなく家庭のストレスも負担になるので、一番近くにいる夫のサポートが必要です。

更年期には生活にも変化が起こりやすく、更年期障害とうつ病の合併が多い

女性は50歳前後に閉経を迎えますが、閉経の前後10年間の「更年期」には、女性ホルモンの分泌が減少していくことにより、心身にさまざまな不調が現れます。めまいや耳鳴り、ほてり、発汗、疲労感のほかに、倦怠感(けんたいかん)や不眠、頭痛など、いわゆる「不定愁訴」と呼ばれる症状が多く、それらはうつの症状とも似ています。

また、更年期は、働いている女性であれば管理職になったり、子どもが手を離れて働き方が変わったり、子どもが独立して家を出たり、老親の介護が始まったり……と、いろいろな変化が起こる時期でもあります。そのような多岐にわたるストレスを抱え、うつ病になりやすいのです。実際に、更年期障害と診断された女性の半数は、うつ病を合併しているともいわれます。

日常生活に支障が出ていれば、専門医への受診の検討を。夫のサポートも重要

症状の出方には個人差が大きいため、判断は難しいものです。症状が続き、日常生活に支障が出ているようであれば、心療内科などの専門医への受診を検討したほうがよいでしょう。婦人科を受診した場合でも、診断によりうつ病が疑われる場合は、心の専門医への受診を勧められる場合があります。心療内科の受診は抵抗がある、ということであれば、臨床心理士のいるカウンセリングルームや電話相談を利用してみるのもよいでしょう(厚生労働省「こころの耳」に相談機関が掲載されています)。

配偶者として一番近くにいる相談者さんは、妻にとって何がストレスとなっているかを確認し、軽減するためにサポートしましょう。家事や介護を分担するといった物理的サポートだけでなく、じっくり話を聴く精神的サポートも欠かせません。

なお、話を聴く際には、途中で遮ったり、「僕だって大変なんだ」と自分の愚痴や話をしたり、「大丈夫だよ」と簡単に話を終わらせるなどは禁物です。解決策の提示を考えるよりも、気持ちを寄り添わせて思いを汲み取ることを重視しましょう(「悩みを打ち明けられたら……」参照)。

夫自身がストレスとなっていないかを振り返り、歩み寄ろう

とはいえ、残念ながら妻にとって「夫が最大のストレス」となっている例もたくさんあります。無神経な言葉や威圧的な態度、思いやりのない言動をとっていないか、振り返ってみましょう。夫が態度を改めて妻に歩み寄るだけで、症状の改善につながることもあります。妻が楽になれば、相談者さんのストレスや心配事も減るでしょう。

人生100年時代、二人の生活はまだ先が長いもの。お互い心身ともに健康で穏やかに暮らすためには、理解し合い、つらいときは支え合うことが大切です。

山本 晴義 先生

監修者 山本 晴義 先生 (医学博士 横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長
神奈川産業保健総合支援センター相談員 埼玉学園大学大学院客員教授)
1972年東北大学医学部卒業、1991年横浜労災病院心療内科部長、2001年より横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長。日本心療内科学会監事・専門医、日本産業ストレス学会理事、日本産業精神保健学会評議員、日本心身医学会評議員、日本職業災害医学会評議員。厚生労働省ポータルサイト「こころの耳」委員。著書は『ストレス一日決算主義』(NHK出版)、『初任者・職場管理者のためのメンタルヘルス対策の本』(労務行政)、『ビジネスマンの心の病気がわかる本』(講談社)、『ストレス教室』『働く人のメンタルヘルス教室』『メンタルサポート教室』(新興医学出版社)、『ドクター山本のメール相談事例集』(労働調査会)、『図解 やさしくわかる うつ病からの職場復帰』(ナツメ社)など多数。また、DVD『Dr.山本晴義の実戦!心療内科』(全2巻、ケアネット)、『元気な職場をつくるメンタルヘルス』(全12巻、アスパクリエイト)、CD『予防のための音楽「うつ」』(デラ)なども監修している。