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「やせすぎでもダイエットをやめない娘。拒食症でしょうか?」

「やせすぎでもダイエットをやめない娘。拒食症でしょうか?」

Q.50代女性です。もともとそんなに太っているわけでもない高校生の娘が、ダイエットを始めて、10kg以上やせてしまいました。体調不良になったり月経も止まっているようなのにダイエットをやめません。拒食症でしょうか?

A.家族が止めても極端な食事制限を続ける、嘔吐しているなど、状態によっては「神経やせ症(いわゆる拒食症)」が疑われるかもしれません。本人が心療内科・精神科への受診を嫌がるようであれば、先に家族が相談したり婦人科に受診して紹介してもらうなどして、できるだけ神経性やせ症の専門医のもとで治療を受けるようにしましょう。

思春期の極度な体重減少はさまざまな弊害をもたらす

極端なダイエットで体調不良や無月経があるとのこと、親としてさぞ心配なこととお察しします。

体が成長する思春期に、BMI(肥満度=体重[kg]÷身長[cm]÷身長[cm])18以下など極度に体重が減ると、女性ホルモンの分泌が低下しすぎてしまい、月経が止まることがあります。また、栄養障害を起こし、低血圧や立ちくらみ、貧血、むくみ、便秘などの症状が起こったり、将来的に骨も弱くなってしまいます。ひどい場合は、低カリウム血症で命にかかわることもあり、放っておくのは危険です。

心療内科・精神科受診を本人が嫌がる場合は、先に家族が相談するか、婦人科へ受診を

家族や友人が止めてもダイエットを続ける、極端な食事制限(まったく食べない、太るといわれる食べ物を避けて野菜ばかり食べるなど)や過活動(過度に運動したり動き回ったりする)、食べた後に嘔吐するといった傾向があると、摂食障害の一つである「神経性やせ症(いわゆる拒食症)」が疑われます。

神経性やせ症は高校生や大学生くらいの女性に多く、“いい子”“優等生”タイプで自己評価の低い子どもに起こることがあります。一方で、うつ病や統合失調症、強迫症、社交不安症などの精神疾患によって起こっているケースもあるので、医療機関ではそれらを見落とさないように診断することが重要となります。

神経性やせ症の恐れがある場合は、早めに心の病気の専門医(心療内科、精神科など)を受診することをおすすめしますが、本人が嫌がる場合には、家族が先に受診して相談することもできます。また、無月経を理由に婦人科を受診して、摂食障害の専門医を紹介してもらうのもよいでしょう。本人が15歳以下の場合は小児科で相談することもできます。

家族内に問題が潜んでいる場合も。家族で一致して向き合うことが大切

摂食障害にはさまざまな原因があり、強制的に食べさせようとしたり、「十分やせているから大丈夫」と言い聞かせようとしたりしても、解決にはならないどころか逆効果になってしまう恐れもあります。

家族内の問題が潜んでいることもあるので、専門医に相談し、本人の状態や言動、人間関係、これまでの生活史といった必要な情報をできるかぎり提供しましょう。また、家族の中で意見を一致させ、協力して治療していく姿勢も必要になります。

山本 晴義 先生

監修者 山本 晴義 先生 (医学博士 横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長
神奈川産業保健総合支援センター相談員 埼玉学園大学大学院客員教授)
1972年東北大学医学部卒業、1991年横浜労災病院心療内科部長、2001年より横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長。日本心療内科学会監事・専門医、日本産業ストレス学会理事、日本産業精神保健学会評議員、日本心身医学会評議員、日本職業災害医学会評議員。厚生労働省ポータルサイト「こころの耳」委員。著書は『ストレス一日決算主義』(NHK出版)、『初任者・職場管理者のためのメンタルヘルス対策の本』(労務行政)、『ビジネスマンの心の病気がわかる本』(講談社)、『ストレス教室』『働く人のメンタルヘルス教室』『メンタルサポート教室』(新興医学出版社)、『ドクター山本のメール相談事例集』(労働調査会)、『図解 やさしくわかる うつ病からの職場復帰』(ナツメ社)など多数。また、DVD『Dr.山本晴義の実戦!心療内科』(全2巻、ケアネット)、『元気な職場をつくるメンタルヘルス』(全12巻、アスパクリエイト)、CD『予防のための音楽「うつ」』(デラ)なども監修している。