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「大切なペットを失いました。喪失感はどうすればなくなりますか?」

「大切なペットを失いました。喪失感はどうすればなくなりますか?」

Q.30代女性です。10年以上一緒に暮らしてきたペットが他界しました。ことあるごとに思い出して悲しくなってしまい、心にぽっかりと穴があいたようです。この喪失感はどうすればなくなるのでしょうか。

A.一時的ショックは大きいものの、時間が解決してくれる場合が多いです。しかし、抜け出せなくなってしまう場合もあるので注意が必要です。ペットへの思いを誰かに話したり書いたりすることで悲しみを心からそっと切り離したり、落ち着いたら新しいペットと暮らすことも検討しましょう。

大切な人やペットを失った喪失体験は、大きなストレスに

長い間家族として一緒に暮らしてきたペットを失った相談者さんの悲しみ、お察しします。程度の差はあるものの、そのようなペットロス症候群は、愛情をもって接していた飼い主なら誰でも経験する症状といえます。

大切な人やペット、心の支えとなっていたものなど、その人にとって重要な何かを失ったときの喪失体験は、心身にさまざまな影響を及ぼします。ペットの死であっても、喪に服す期間は必要です。今は思い切り悲しみ、無理をせず仕事を休むなどしましょう。

同じ悲しみをもつ人と話して思いを共有したり、思いを書き綴ってみましょう

時間がたつにつれ回復していくことが多いのですが、いつの間にか「最期にもっとこうしてあげればよかった」という後悔に苛まれて抜け出せなくなったり、喪失感で食欲や活動意欲を失い、うつ病に至ってしまう人もいます。

ほかの家族と一緒にペットの思い出話をたくさんしたり、同じようにペットを失ったことのある友人に思いを聞いてもらうなどして、悲しみを共有しましょう。それが難しい場合には、「ペットロス」の自助グループ(同じ問題をかかえる人たちが集まって、励まし合いながら乗り越えようとする集団)などのコミュニティを利用して、話を聞いてもらったり、ペットの思い出を綴って読んでもらったりするとよいでしょう。ペットロス症候群の相談に乗ってくれる動物病院なども増えてきているので、調べてみることをおすすめします。

感情を言葉に変換し、書いたり話したりする行為には、悲しみや後悔などを心からそっと切り離す効果があります。SNSや自分の日記などに書き綴ってみるだけでもよいでしょう。

心の癒やしとなる新しいペットと暮らすことも検討を

ペットという存在は、心の支えやよき話し相手となるだけでなく、世話をするために規則正しく健康的な生活が送れたり、自分が必要とされる責任感が生じたりと、心の健康づくりにとても重要な役割を果たしてくれます。特に、長年ペットと暮らしてきた人にとっては、生きていくうえで欠かせない存在でしょう。気持ちが落ち着いたら、新しいペットと暮らすことも考えてみてください。

しかし「また失ったときのことを考えるとつらい」「前のペットのことを忘れようとしているみたいで踏み切れない」という場合もあるでしょう。対象がなんであれ、世話をするという行為は人を癒やしてくれるので、花や観葉植物を育てることもおすすめです。

なお、どうしても悲しみの底から抜け出せない、不眠や頭痛が続く、日常生活が送れないなど、自分では乗り越えられないときは、早めに心の病気の専門医(心療内科、精神科など)を受診しましょう。

山本 晴義 先生

監修者 山本 晴義 先生 (医学博士 横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長
神奈川産業保健総合支援センター相談員 埼玉学園大学大学院客員教授)
1972年東北大学医学部卒業、1991年横浜労災病院心療内科部長、2001年より横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長。日本心療内科学会監事・専門医、日本産業ストレス学会理事、日本産業精神保健学会評議員、日本心身医学会評議員、日本職業災害医学会評議員。厚生労働省ポータルサイト「こころの耳」委員。著書は『ストレス一日決算主義』(NHK出版)、『初任者・職場管理者のためのメンタルヘルス対策の本』(労務行政)、『ビジネスマンの心の病気がわかる本』(講談社)、『ストレス教室』『働く人のメンタルヘルス教室』『メンタルサポート教室』(新興医学出版社)、『ドクター山本のメール相談事例集』(労働調査会)、『図解 やさしくわかる うつ病からの職場復帰』(ナツメ社)など多数。また、DVD『Dr.山本晴義の実戦!心療内科』(全2巻、ケアネット)、『元気な職場をつくるメンタルヘルス』(全12巻、アスパクリエイト)、CD『予防のための音楽「うつ」』(デラ)なども監修している。