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「管理職になったばかりで、部下からの相談にうまく対応できません」

「管理職になったばかりで、部下からの相談にうまく対応できません」

Q.30代男性です。4月から管理職の立場になり、部下からの相談を受けるようになりましたが、うまく対応できません。どのように話を聞き、答えたらよいか教えてください。

A.相づちのうち方や言葉の返し方、聞き方、相手の話を聞くときの態度などが、相手の話しやすさやその後の人間関係に影響します。相手の気持ちを理解しながら聴く、「傾聴」のポイントをおさえておきましょう。

一番NGなのは、「迷惑だ」という態度が言外に部下に伝わってしまうこと

ストレスの原因で圧倒的に多いのが「人間関係」の問題です。部下が上司に「相談があります」ともちかけたとき、上司がよくない対応をとると、部下にとってさらなるストレスとなりかねません。特に、部下がメンタルな問題を抱えていた場合には、いい加減な対応をとると非常に危険です。また、業務上の問題が解決せず棚上げされてしまい、上司にとってもストレスとなる可能性もあります。

一番やってはいけないのは、相談相手の話を聞きたくない、迷惑だというメッセージを伝えてしまうこと。たとえ言葉に出さなくても、態度や対応の仕方によって、そのようなメッセージが相手に伝わってしまうのです。

「今忙しいから」と迷惑そうな素振りを見せたり、しかめっ面をしたり、相談相手の目を見ないで話だけ聞いたりするのはやめましょう。また、「手短に」と話を急かしたり、話を途中で遮ったり、相手が話し終わる前に判断を下すこともNGです。

相手の気持ちを理解し、相手にも「理解してもらえた」と伝わる「傾聴」のポイント

人の話を聴くうえで大切なのは、「傾聴」というコミュニケーション方法です。ただ相手の話に耳を傾けるだけでなく、「相手の気持ちを理解する」こと、相手に「理解してもらえた」と伝わることが重要となります。相手と目を合わせて話を聞き、次のようなポイントに気をつけましょう。

傾聴のポイント

  • 相手に頷いたり、丁寧に相づちを打つ(簡単受容)
    相手の発言になんらかの評価を下さず、「わかった」という反応を返すことです。相づちも単調に繰り返すのではなく、「しっかりと聴いていますよ」というメッセージを伝えるつもりで打ちましょう。
  • 相手の話で重要な部分を要約して繰り返す(要約)
    話を遮らないように、相手の話が一段落したところで、話の中から重要な部分をまとめて伝え返します。これによって、部下は自分の話している内容を確認でき、また、上司側からはきちんと聞いていることを伝えられます。
  • 相手に同調する言葉をかけて、相手の感情を受け止める(感情への応答)
    例えば部下から「先方に電話で急に、納品を早めてくれと言われたんです」と言われた場合、「ひどいよなぁ……」と返すような対応です。単純なようですが、これは傾聴のなかでも重要な技法のひとつです。この応答により、部下は「感情を受け止めてもらえた」「わかってもらえた」と安心感をもつことができます。
  • 「なぜそうなったんだろう?」「どうしたらいいと思う?」といった自由な質問をする(開かれた質問)
    「はい」「いいえ」では答えにくい、「なぜ」「どうして」「どのように」といった質問をすることで、相手に多くのことを話してもらう技法です。相手は自分の意見を言いやすくなり、話しながら内容を整理したり、新たな気づきや答えを見つけていくことにつながります。
    ただし、簡潔に聞くと詰問調になってしまい、相手が萎縮してしまいがちなので、「どうしたらいいと思う?」といった言い方をするなど、注意が必要です。

山本 晴義 先生

監修者 山本 晴義 先生 (医学博士 横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長
神奈川産業保健総合支援センター相談員 埼玉学園大学大学院客員教授)
1972年東北大学医学部卒業、1991年横浜労災病院心療内科部長、2001年より横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長。日本心療内科学会監事・専門医、日本産業ストレス学会理事、日本産業精神保健学会評議員、日本心身医学会評議員、日本職業災害医学会評議員。厚生労働省ポータルサイト「こころの耳」委員。著書は『ストレス一日決算主義』(NHK出版)、『初任者・職場管理者のためのメンタルヘルス対策の本』(労務行政)、『ビジネスマンの心の病気がわかる本』(講談社)、『ストレス教室』『働く人のメンタルヘルス教室』『メンタルサポート教室』(新興医学出版社)、『ドクター山本のメール相談事例集』(労働調査会)、『図解 やさしくわかる うつ病からの職場復帰』(ナツメ社)など多数。また、DVD『Dr.山本晴義の実戦!心療内科』(全2巻、ケアネット)、『元気な職場をつくるメンタルヘルス』(全12巻、アスパクリエイト)、CD『予防のための音楽「うつ」』(デラ)なども監修している。