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「職場のメンタルヘルス対策を強化したいのですが何から始めればよいですか?」

「職場のメンタルヘルス対策を強化したいのですが何から始めればよいですか?」

Q.40代男性です。従業員50人未満の会社の労務を担当しています。弊社はストレスチェック制度を導入していないのですが、昨今の職場のメンタルヘルス問題の深刻化を受けて、メンタルヘルス対策を強化したいと考えています。何から始めればよいでしょうか。

A.従業員のメンタルヘルス不調は、企業にとって大きなリスクです。特に人手が不足している中小企業は、従業員のメンタルヘルス不調による影響を受けやすいといえます。ストレスチェック制度を実施していない事業所は、助成金制度などを活用して、メンタルヘルス対策への取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。

職場のメンタルヘルス対策は、健康経営の面でも非常に有効な取り組み

近年、過重労働や職場の人間関係によるストレスが原因で、メンタル疾患を発症する人が増え、社会問題の一つとなっています。厚生労働省の調査によると、仕事で強いストレスを引き起こす事柄がある、と回答した労働者は58.0%と、2人に1人が仕事関連で強いストレスを感じている、という結果が出ています*。この調査からは、仕事に質や量を求められたり、失敗や責任などのプレッシャーがかかったりすることにストレスを感じる人が多いことが判明しています。

従業員の健康を保つことで生産性向上などを目指し、企業が率先して従業員の健康管理に取り組む考え方を「健康経営」と呼びます。人手不足が課題にあげられることも多い中小企業では、従業員の不調の原因が職場にあるにもかかわらず放置した場合、生産性が落ちるというデメリットを招いてしまうかもしれません。反対に、健康経営に取り組めば、従業員の生産性向上、医療コストの削減、企業のイメージアップなどのメリットにつながると考えられます。職場のメンタルヘルス対策は、健康経営の面からみても非常に有効な取り組みです。

助成金制度などを活用し、ストレスチェック制度の導入を検討されては

実際に、職場のメンタルヘルス強化を進めるうえで、何から始めればよいのでしょうか。厚生労働省の指針では、職場のメンタルヘルスケアを強化するには、次の4種類のケアを継続して実施することが大切とされています。

  • ①従業員本人によるセルフケア
  • ②管理監督者が率いるラインによるケア
  • ③企業内の産業保健スタッフなどによるケア
  • ④企業外の専門家や機関などによるケア

これら4種類のケアが適切に実施されるよう、各担当者が連携をとりながら取り組みを推進することが大切です(詳細は「職場のメンタルヘルス対策を強化するうえで、大切なポイントを教えてください」参照)。

4種類のケアを実施するうえで、まず必要なのが個人個人のストレス状態の把握と職場環境についての把握・改善で、そこで役立つのが「ストレスチェック」です。

現時点では、労働者が50名未満の事業所では、ストレスチェックの実施は努力義務となっていますが、小規模の事業所でも実施しやすいように助成金制度が設けられています。この助成金制度などを上手に活用して、メンタルヘルス対策の強化に取り組んでみてはいかがでしょうか。厚生労働省の「こころの耳」サイトには、ストレスチェックの導入や実施に役立つ情報を紹介しています。ぜひ参考にされてみてください。

参考文献

山本 晴義 先生

監修者 山本 晴義 先生 (医学博士 横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長
神奈川産業保健総合支援センター相談員 埼玉学園大学大学院客員教授)
1972年東北大学医学部卒業、1991年横浜労災病院心療内科部長、2001年より横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長。日本心療内科学会監事・専門医、日本産業ストレス学会理事、日本産業精神保健学会評議員、日本心身医学会評議員、日本職業災害医学会評議員。厚生労働省ポータルサイト「こころの耳」委員。著書は『ストレス一日決算主義』(NHK出版)、『初任者・職場管理者のためのメンタルヘルス対策の本』(労務行政)、『ビジネスマンの心の病気がわかる本』(講談社)、『ストレス教室』『働く人のメンタルヘルス教室』『メンタルサポート教室』(新興医学出版社)、『ドクター山本のメール相談事例集』(労働調査会)、『図解 やさしくわかる うつ病からの職場復帰』(ナツメ社)など多数。また、DVD『Dr.山本晴義の実戦!心療内科』(全2巻、ケアネット)、『元気な職場をつくるメンタルヘルス』(全12巻、アスパクリエイト)、CD『予防のための音楽「うつ」』(デラ)なども監修している。