「コロナ禍でお酒の量が増えてしまっています。」
Q.40代男性です。私はお酒が好きで、ストレス解消法は気の合う同僚たちとお酒を酌み交わすことでした。しかし、コロナ禍で気軽に飲みに行けなくなり、家飲みが中心になり酒量が増えています。
A.お酒によるストレス解消の効果は一時的なものです。このままでは肝疾患やアルコール依存症など、さまざまな病気の心配も。お酒以外のストレス解消法を複数見つけましょう。
お酒はストレスの原因を解消してくれるわけではない
仕事が終わった後、職場の仲間たちとお酒を飲みながら、楽しくおしゃべりをする……それはごく当たり前の光景でした。しかし、長引くコロナの影響で、外出自粛や在宅勤務がすすめられ、「飲みニケーション」によるストレス発散が難しい昨今。自宅にいる時間が増え、家でお酒を飲む量が増えたという声も多く聞かれます。
お酒が仕事の疲れを取り除き、ストレスを解消する有効な手段のひとつであることは確かです。ただ、お酒とはどうつき合うのかがとても重要です。お酒はストレスの原因そのものまでを解消してはくれません。ストレス解消のためだからと酒量が増えると、肝疾患や糖尿病、アルコール依存症といったさまざまな病気のリスクにつながります。
お酒が生活を豊かにしてくれるかどうかは、飲み方次第。お酒好きな人こそ、つき合い方に十分注意する必要があります。
お酒以外のストレス対処法を考えてみよう
「ストレスコーピング」という言葉を聞いたことはありますか。これは、認知行動療法で提唱される方法で、仕事や人間関係などさまざまな場面でストレスを感じたときに、戦略的にストレスに対処するための方法です。下記に健康的なストレスコーピングの5つのポイントを挙げました。
健康的なストレスコーピングのための5つのポイント
①積極的に問題を解決する:過去の経験を参考に、計画を立てて実行する。
②気分転換を図る:趣味や娯楽などで気分転換する。
③物の見方を変える:物事のよい面を考えるようにする。
④周囲に相談する:似た経験を持つ人などに相談する。
⑤問題から距離を置く:問題から距離を置いて、解決のチャンスを待つ。
このように、ストレスコーピングの方法は気分転換の他にもさまざまあります。普段、私たちは意識しなくても、知らぬ間にストレスコーピングを行い、心身のバランスを保っているのです。仕事の愚痴を言ったり、行き詰まったときに休憩をとることも、ストレスコーピングの一例です。
相談者さんはストレスコーピングが「お酒を飲む」だけになっていませんか? 特に日本人男性の場合、ストレス解消法が「酒だけ」になってしまうことが非常に多く、これが大きな問題です。別のストレスコーピングを考えてみましょう。
ストレスコーピングの要素
- 好きなことを楽しむ
- 自然と触れ合う
- 身近な相談相手、愚痴を言える相手を作る
- リラクゼーション法を行う
- 専門家に相談する
最後の「専門家に相談する」というのは医療的な側面がありますが、それ以外は趣味に近いものです。一見、あまりにもありきたりのことに思われるかもしれません。しかし、当たり前のストレス解消法をきちんと自分のライフスタイルのなかに組み込み、日々実践しましょう。音楽を聴く、体を動かす、部屋の模様替えをするなど、どんな方法でも構いません。1つの方法ですべてを乗り切ろうとせず、ストレスコーピングのレパートリーを増やして、状況に応じて対処しましょう。
いつまでもおいしくお酒を楽しむためにも、お酒と上手につき合おう
時間や場所を選ばずにどうしてもお酒が飲みたくなり、飲み始めたら泥酔するまでやめられなくなるアルコール依存症。意志の弱い人がなると思われがちですが、そうではなく、お酒を飲む人なら誰でも発症する可能性があります。アルコール依存症が進むと、体や精神に悪いばかりではなく、友人や家族との関係も影響を受け、多くの大切なものを失うことになってしまいます。アルコール依存症が疑われたら、専門の医療機関のサポートが必要になります。
お酒は「嫌なことがあったら飲む」のではなく「楽しむもの」として、これからも上手につき合っていきましょう。