「在宅勤務中で、部下とのコミュニケーション不足やメンタルケアが心配です」
Q.50代女性、管理職です。コロナ禍で在宅勤務を導入していますが、部下とのコミュニケーション不足やメンタルヘルス対策などが心配です。
A.業務時間の途中で困っていることはないか、進捗はどうか、という確認を音声通話やビデオ通話などを使って、意識的に行うようにしましょう。部下の異変に気づいたら、相談窓口を案内するなど関わっていくことが大切です。
孤立感を補うために、意識的に部下とのコミュニケーションを
新型コロナウイルスの影響で、在宅勤務などテレワークを取り入れる企業が増えていますが、部長や課長など企業の管理職には部下のメンタルヘルスケアがこれまで以上に求められています。テレワークは、通勤のわずらわしさから解放されるなどのメリットがある一方で、通常とは違う環境で仕事をこなすことや、人と会わない日々が続くことによる孤独感などが要因となり、心身に不調をきたしている人が増えています。
在宅勤務では対面でのコミュニケーションは行えず、電話やメール、チャットメールなどの非対面でのやり取りになりますが、業務上の疑問や不安をうまく伝えられない部下が増える傾向にあります。特に新入社員や経験の浅い社員にしてみれば、上司や先輩に声をかけるのはハードルが非常に高いものです。業務時間の途中で困っていることはないか、進捗はどうか、という確認を「聞いてこなければ大丈夫」ではなく、上司のほうから音声通話やビデオ通話などを使って、意識的に行うようにしましょう。
オンラインでの朝会や、1対1でのミーティングなどを積極的に導入するのもよいでしょう。声を聴くこと、顔を見ることによって双方に安心感が生まれ、スムーズなコミュニケーションにつながります。
オンオフはしっかり切り替えつつ、部下を見守って
在宅でのテレワークは、通勤がなくなるためにオンとオフの切り替えが難しくなります。また、言うまでもなく自宅はプライベートな空間なので、同じ家にいる家族や、家事、育児といったプライベートな要素が仕事の時間に介入してくることもあります。そうした環境で業務にあたると、仕事以外の物事に気を取られたり、業務が終了してもその気分を引きずってしまうこともあります。
それらの点を踏まえて、上司としては部下と適度な距離感を保ちつつ、しっかりと見守ることが重要です。在宅勤務では部下が自立して、日々のスケジュール管理をより綿密に行うことが求められます。それぞれが自立しつつも、きちんと上司に報・連・相(報告・連絡・相談)を行えるような環境づくりが必要です。上司は部下の1日の仕事量を明確にしたうえで進捗状況を把握し、必要があればサポートを行うようにしましょう。
部下の異変に気づいたら、まずは声をかけ相談窓口へ
ビデオ通話等では部下の身だしなみの乱れや表情の乏しさ、声に元気がないなど、異変かどうかの確認を。そのようなことが1週間以上続くようなことがあれば、まずは声をかけてみましょう。業務に関連した悩みや困りごとであれば、そこで一緒に対応を考えることができます。しかし、体調や家庭、プライベートに関しての悩みは、なかなか上司には相談しづらく、第三者に相談したい場面もあるかと思います。第三者に相談したいとき、自分のメンタルヘルス不調に気づいたときなど、いざというときのメンタルヘルス相談窓口についても、周知しておくとよいでしょう。相談窓口としては、厚生労働省が運営するメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」をはじめ、さまざまあり、メールやSNSでも相談できます。企業によっては社内で相談窓口を設けている場合もありますので、あらかじめ確認しておきましょう。
また、部下本人が窓口を利用しない場合は、上司から相談窓口や会社に相談することをおすすめします。対応については、専門家の意見やアドバイスを参考にして部下と関わっていくことが大切です。