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「明るい性格だった妻が、産後うつのようです。どう接すればよいですか?」

「明るい性格だった妻が、産後うつのようです。どう接すればよいですか?」

Q.30代男性です。妻はもともと明るい性格でしたが、産後にちょっとしたことで気持ちが落ち込むようで、よく泣いています。産後うつのようですが、どう接すればよいでしょうか?

A.出産後は、精神的に不安定で、不安な気持ちが通常よりふくらんでしまうことがよくあります。そんなとき、ご主人など、周りの人が奥様をサポートしてあげましょう。保健師や医師など、専門家の力ももちろん大きいですが、家族の力が何より大切です。

産後はホルモンバランスや育児ストレスなどでうつに陥りやすい

奥様を大切に思われているのですね。出産は、男性が直接経験できることではないからと距離を置いてしまいがちな人もいるなかで、奥様に寄り添おうとされている姿勢、きっと奥様も心強く感じていらっしゃるでしょう。

出産後の女性の30~50%が経験するという「マタニティーブルー(ズ)」は、産後の急激なホルモンの変動や出産という大仕事を終えた後におこる生理現象で、たいていは2週間ほどで治ります。しかし、「産後うつ」は産後1カ月以降から半年前後の期間に発症することが多く、うつ状態が数週間以上続く病気です。出産した女性の10%前後の人が発症するとされます。

主な症状としては、気分が落ち込む、眠れない、食欲がない、子どもをかわいいと思えない、などがあります。原因は、妊娠・出産によるホルモンの変化、環境の変化、思い描いていたのとは異なる出産や育児への戸惑い、周囲のサポートが得られないなど、さまざまな要因が複合的に絡み合っていると考えられます。

育児・家事の分担や精神的なサポートが必要

奥様が育児や家事を1人で頑張りすぎると、産後うつが発症・悪化するリスクが高くなります。なるべく夫婦で分担し、他の家族など周囲の力も借りて、奥様が十分休めるようにしましょう。

普段、仕事で帰宅が遅くなるご主人にもできることはあります。それは奥様の精神的なサポートです。日中、1人で育児をしている母親は孤独に陥りやすく、自信をなくしてしまうことがよくあります。そんなときは、ご主人がお子さんの様子や奥様の体調を優しくたずねたり、育児をねぎらう言葉をかけてあげたりする心遣いが重要です。

また、産後の母親は1人になれる時間がほとんどありません。ときには、お子さんを預かり「1人で美容院や買い物でも行ってきたら」などと声をかけて、1人になれる時間を作ってあげられるとよいですね。

産後うつが疑われたら専門医に相談を。何より家族のサポートが大きい

ただし、どんなに配慮しても産後うつを発症する場合はあります。うつ状態で治療が必要なのに、本人が気づいていない場合も少なくありません。相談者さんは、いつもと違う奥様の様子に気づいたことですし、専門医を一緒に受診することをおすすめします。一般的には精神科や心療内科を受診することになりますが、迷ったときは、まずは、出産した医療機関や地域の保健センターなどに相談してみましょう。

産後うつになったとしても、休養やカウンセリング、場合によっては抗うつ薬などの薬物療法を受けることで、ほとんどの人は数カ月で回復します。抗うつ薬の母乳への影響を心配する人もいますが、軽いうつであればカウンセリングでよくなっていきます。受診をためらわずに、医師とよく相談しましょう。

出産後は、精神的に不安定で、不安な気持ちが通常よりふくらんでしまうことがよくあります。そんなときは、ご主人など周りの人が心細そうにしている奥様をサポートしてあげてましょう。専門家の力はもちろんですが、親身になって支えてくれる家族の力が何より大きいです。

山本 晴義 先生

監修者 山本 晴義 先生 (医学博士 横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長
神奈川産業保健総合支援センター相談員 埼玉学園大学大学院客員教授)
1972年東北大学医学部卒業、1991年横浜労災病院心療内科部長、2001年より横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長。日本心療内科学会監事・専門医、日本産業ストレス学会理事、日本産業精神保健学会評議員、日本心身医学会評議員、日本職業災害医学会評議員。厚生労働省ポータルサイト「こころの耳」委員。著書は『ストレス一日決算主義』(NHK出版)、『初任者・職場管理者のためのメンタルヘルス対策の本』(労務行政)、『ビジネスマンの心の病気がわかる本』(講談社)、『ストレス教室』『働く人のメンタルヘルス教室』『メンタルサポート教室』(新興医学出版社)、『ドクター山本のメール相談事例集』(労働調査会)、『図解 やさしくわかる うつ病からの職場復帰』(ナツメ社)など多数。また、DVD『Dr.山本晴義の実戦!心療内科』(全2巻、ケアネット)、『元気な職場をつくるメンタルヘルス』(全12巻、アスパクリエイト)、CD『予防のための音楽「うつ」』(デラ)なども監修している。